NOCエシカルインタビューCIMG6107
㈱パノコトレーディング(1987年設立)は1995年から オーガニックコットン事業を始めて、昨年で20年を迎えました。                        その記念プロジェクトと位置付けて力を入れているsisiFILLEブランドが 動き始めています。  このプロジェクトのご担当者に 経緯を伺いました。

ご担当者:本田久美子さん(32歳)

本田さんは、サンフランシスコへ移住したことをきっかけに
オーガニックコットンという素材の持つ背景や可能性に興味を持ち、
帰国後パノコトレーディングに入社。出産を経て職場復帰後に
sisiFILLE立ち上げに参加。
現在は2歳になる息子さんを育てながら、sisiFILLEの企画を
担当されています。

聞き手:宮嵜道男
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宮嵜:こんにちは、相変わらず、お元気そうですね。                          今日は、パノコトレーディングがとても力を入れているsisiFILLEブランドについて         聞かせて下さい。                                               目の前に製品がありますが、 とてもハイセンスなパッケージですね。               どうしてここまでデザインに力を入れたんでしょうか。                          この辺から伺いましょうか?
本田:はい。これまでのナプキンは、ナプキンの絵や写真が、必要以上に主張されていたり、可愛らしすぎたり、派手なパッケージが多かったと思うんです。
でも実際に女性がナプキンのパッケージに求めていることって、もっとシンプルなん       じゃないかなって思います。トイレやお部屋にそのままポンっと置いておいても馴染むもの。もっと洗練されたパッケージを求めていたんです。

そこで、オーガニックコスメの世界で長く活躍されてきた山藤陽子さん(YORK.代表)に     アドバイザーをお願いし、山藤さんと参考資料を持ち寄って、理想のイメージを          つくっていきました。
そして今女性誌などで活躍されているグラフィックデザイナーの田部井美奈さんに形にして  頂いたんです。
田部井さんの作風って、現代の女性のツボを絶妙に押さえてくれる感じなんです。

sisiFILLEのコンセプトのひとつである「女の子」という印象を感じさせつつも、強くしなやかな 女性像を表現したいという意図を汲んでくれて、このように仕上げてくださいました。

宮嵜:なるほど、女性独特の感性の世界ですね。                           反響はどうでしたか?

本田:おかげさまで、大手百貨店さんや
アパレルさんにも置いて頂けることに なりました。
中身の良さを知ってもらうことは もちろんが、まずは手にとって
もらうこと、なにこれ、かわいい! と興味を揺さぶることが 企画して
いく上で大切だと 感じています。
ライフスタイルをコンセプトに しているお店を中心に、これまで
ナプキンを扱ったことがないお店にsisiFILLEを置いてもらえるといいなと思っています。
宮嵜:そうですか。それは素晴らしいですね。着眼点がよかったわけだ。              さて、今回発売のナプキンについて伺います。                             商品開発のきっかけはなんだったんですか?
本田:もともと会社として5、6年前から温めていた企画があって、私が出産を経て       職場復帰をしたタイミングで改めてブランドを立ち上げることになったんです。
自身としても、もっと心地いい、使い勝手のいいナプキンが欲しいと                思っていた時でもありました。
産後、生理が再開した時に、これまでふつうに使っていた市販の使い捨てナプキンで     かぶれてしまったんです。
その時にオーガニックコットン製の布ナプキンを使ってみて、その心地のよさに          衝撃を受けました。
なによりもあたたかい。ナプキンをつけているという違和感が全くない使用感に感動したのを 覚えています。それから気持ちも穏やかになっていったのを感じたんです。
宮嵜:へぇー、気持ちまで変わっちゃうんですね。
本田: ただ、仕事に本格的に復帰してからは、育児との両立に不慣れだったこともあって、  洗濯を億劫に感じてしまうことがありました。結局、便利な市販の使い捨てナプキンを併用するようになったんです。
ただ布ナプのあの心地よさが忘れられなくて、無理せず(布ナプと)一緒に使える、       使い勝手のいいナプキンがあったらなあと思っていました。                     そんな時にこの企画に出会ったんです。
宮嵜:それでは、一般の生理用ナプキンとどこが違うのか、お話してくれますか?
本田:はい。大きな違いというのは、トップシートにオーガニックコットン100%の不織布を  使っている点と、石油由来の吸収性ポリマーの代わりに森林認証を取得した木材を原料としたパルプを使った点です。
sisiFILLEとしてはなるべく自然由来の素材を使いたいという考えでいるので、これで完成   とういことではないんです。今後、より多くの部材を自然由来のものに変えていきたいですね。
宮嵜:なるほど、やっぱり自然由来の材料は安心ですね。人間も自然の一部ですから。
本田:肌に直接触れるトップシートに採用したオーガニックコットンですが、            これはsisiFILLEの母体となっている会社のパノコトレーディングの                オーガニックコットンを使っています。                                   そもそもこのオーガニックコットン不織布が出来たのが、このナプキンのはじまりでも      あるんです。
宮嵜:なるほど、なるほど。アイディアと技術がバチッと出会った時にヒット商品は        出来るんですね。
本田:このトップシートについてもう一つお話しますね。                        本当は漂白等の化学的な処理をなるべく避けたいと考えていたんですが、生理用       ナプキンは「医薬部外品」扱いになるので、薬事法上どうしても漂白をしなければ        ならなかったんです。
宮嵜:漂白ですか?
本田:はい。法律をクリアできる漂白方法の中で最も安全性の高い漂白方法のひとつの    酸素系漂白を採用しました。 酸素系漂白に用いられる過酸化水素は、漂白後は水と酸素に 戻るんです。人の身体にも安全で、環境への負担もとても少ない手法です。
ライナーの方は、医薬部外品ではなく「雑品」扱いになるのでオーガニックコットンで      無漂白のトップシートを使っています。だから綿カス(綿の葉の破片)が表面に現れていて、 生成り色をしています。
本当はナプキンにもこの無漂白の生成り色を使いたかったというのが,本音なんです。
宮嵜:はい。お気持ちは十分にわかりました。さて、この製品のブランドコンセプトについて  お話してくれますか?
本田: ブランド名sisiFILLE(シシフィーユ)の由来は、製品に使われているオーガニック    コットンの産地のひとつ、アフリカ・タンザニアの言葉で「私たち」を意味するsisiと、フランス語の「少女」を意味するFILLEを繋げた造語です。
女性たちに自分を大切にしてほしい、女の子ということを意識してほしい、 女性であることを 楽しんでほしいというメッセージが込められています。
作られた女性像ではなく、もっとリアルに女性が求める女性のためのもの。           こういうプロダクトをつくっていきたいと考えています。
自分自身を大切にするためには、安全性、安心感はとても大切だと思っています。
sisiFILLEのナプキンはそれを示すために、世界的に安全の証として使われている       エコテックス規格100の中でも一番厳しい「クラスⅠ」を取得しています。              これは赤ちゃんが舐めても大丈夫というとても安全性の高い認証です。
宮嵜:それは凄いですね。第三者機関が安全と証明している訳ですね。             他に、特長がありましたらお話して下さい。
本田:そうですね。トップシートに使っているオーガニックコットンにbioReプロジェクトから    うまれたものを採用したという点ですね。
オーガニックコットンを専門にされている宮嵜さんに説明するのもなんなんですが、この    プロジェクトはサステイナブルなオーガニックコットンの栽培を実現するために、始められた  活動で、ここで得られた資金はオーガニック農法のトレーニングや現地の子供達の教育、  医療や水源のインフラ整備などに使われているんです。そのサポートの中に女性のための 自立支援というものがあるんですね。
私達、女性がsisiFILLEのナプキンを選ぶことで現地の女性を支えることになり、         お互いを支え合うことにつながる。それってすごくいいなあと思うんです。
sisiFILLEは単に自身のためのものだけじゃない、消費がサポートにつながるんです。

今後はもっと現地の女性のために、直接的な支援もできればいいなと考えていて、      そのためにもsisiFILLEを広めていく必要があると感じています。

宮嵜: この地球上で、たまたま日本という豊かな国に産まれて、当たり前に生活していますが、世界には、貧困や内戦、テロなど命の危険と隣り合わせの生活をする同世代の 女性が 沢山いて、その女性たちに思いを遣るという事ですね。                        その女性たちの役に立ちたいというのは、とても健全で尊いことですね。             今の時代、そういう背景の商品を探している女性は、決して少なくないと思いますね。
我々男性も関心を持たなくてはいけませんね。
本田:本当にそうですね。
男性にナプキンを、実感してもらうのは、なかなか難しいんですけど、奥様や娘さんのためにと、手にとってくれる男性は実際にいるんです。このパッケージのデザインで男性にもいい影響を与えることができればいいなあと思っています。
宮嵜:よくわかりました。今日はありがとうございました。
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平成28年1月25日                  日本オーガニックコットン流通機構宮嵜道男