地熱イラスト「延性帯涵養(かんよう)地地熱発電」という画期的な
発電方式が、弘前大学の北日本新エネルギー研究所が中心になって実用化に向けて開発が進んでします。

従来使われていた地熱発電用の井戸よりも、もっと深い地層まで掘削してパイプを
通し、そこに高い水圧の水を供給して高温の蒸気を得る「延性帯涵養地熱発電」と呼ばれる
世界初の方式です。

従来の地熱発電よりも効率が高く、将来的には日本の総発電量の50%以上を賄うことも
夢ではないと云います。

2015年に入って、石油の需要の先細りの予測からガソリン価格の暴落が起きていますが、自動車も発電も世界は一斉に脱石油に走り出したようにみえます。

これまで、日本にはエネルギー資源は皆無で、せっせと物を作って売って稼いだつもりが、高価な化石燃料代に消えてゆくとして、原発を急ピッチで取り込みました。ところがあの福島の事故で
急ブレーキがかかったわけです。
一転、日本の技術陣は、再生エネルギーに本気になって取り組み、各分野で着々と成果を上げて来ています。太陽光、風力、小水力発電、バイオマス発電等々有望な方式がどんどん開発されています。その中の一つがこの新開発の地熱発電方式です。
順調に行けば、近い将来、原発は不要、火力発電の石炭、石油、天然ガスも大幅減になる
模様です。

元々日本は、火山の国で、世界の活火山の8%が集中していて、火山の数では
米国(160)、インドネシア(146)、日本(119)の順で世界第3位、どこでも温泉が
出るわけで、なるほど日本には温泉場がなんと1万か所もあるのです。

ところが日本の地熱発電の現状は次の表の様な発電量、世界第8位という「情けない」現状です。
発電量順位 発電量万kW 国名 火山数 地熱資源量 設備容量
1位 16,603 アメリカ 160 3,000 万 kW 309  万kW
2位 10,311 フィリピン 47 600 190
3位 9,600 インドネシア 146 2,779 119
4位 7,047 メキシコ 39 600 95
5位 5,520 イタリア 13 327 84
6位 4,597 アイスランド 33 580 57
7位 4,055 ニュージーランド 20 365 62
8位 3,064 日本 119 2,347 52

地熱発電に力を入れて来なかったのは利権優先の政策的な面があったからです。
温泉関係者から、枯れるのではないかという反対がある、国立公園内の環境規制の問題がある等、政府は、まことしやかに説明してきましたが、事実は石油の利権を守るのと原発推進が政府の
基本政策だったからです。原発再稼働を目指す都合で、再生可能エネルギーの買い取り制度を
後退させようとする露骨な動きからも判ります。

確かに従来の地熱発電には、掘削のコスト、大規模化しないと採算が取れない、熱水層への
当たり外れのリスクなど、問題がなかったわけではありませんが、この新しい方式は、これらの
マイナス面をすべてクリアしてしまいます。
小型分散型の発電ができるのが大きな特徴の1つで、発電だけでなく暖房や融雪用の温水も温室の暖房も各家庭や企業に熱を供給できるようになり、日本の北に住む人々の生活が一変します。
もっとも北極に近いアイスランドでは、すでに既に地熱による快適な暖房生活を実現しています。
またこれとは別に温泉と共存できるバイナリ―発電方式も実用化されてすでに全国で稼働しています。
今から5年前の2010年にアメリカのレスター・ブラウンさんが来日して、講演を聞きました。
シンポジウムのメインタイトルは、「低炭素社会を目指して」で、
著書「プランB 4.0」(発売元(株)ワールドウォッチジャパン)の
内容を語りました。さんレスターブラウン

人類の日常の活動が大気中の二酸化炭素を増やし、結果として地球の体温を上げることになり、海面の上昇や食料不足により人類の存続が
危ぶまれているというシナリオを説明しました。

「環境問題は、ゲームを観戦するようなものではなく、今ここで
生きている人々のリアルなプレーそのものだ」と言いました。

日本の地熱発電の遅れについても痛烈に指摘していました。
ブラウン氏の言葉です。
インドネシアは地熱発電だけで国の電力を賄えることを実証しました。
アイスランドも99%が地熱と水力発電です。
フィリピンでは22%、エルサルバドル30%が地熱発電です。
日本には温泉がどこかしことあって、技術水準も高いのに、世界地熱発電量8位に留まっているのは不可解です。宝の持ち腐れです。
国立公園とか観光温泉とか政策上ハードルがあるものの、国の方針として決めればすぐに
世界ナンバーワンになれる素質があります。
日本の年間必要電力の半分は地熱発電で賄えるはずです。

聴衆から、「日本政府が更に原子力発電に力を入れようとしていることに嘆いている」という
意見が出ると、ブラウン氏はこのような名解答を発しました。
「私は、新しい技術が受け入れられるかどうか見るのに、ウォールストリートの投資家の動きに注目します。それは冷徹な経済の見通しの上で決断される結果の動きだからです。
この点で見るとアメリカの投資家は、原子力発電ではなく、風力発電に投資を繰り返しています。この意味で原子力発電は、投資効率が悪く古いタイプの発電と考えています。
設備を建設する費用と同じ解体費が掛かり、安全のための維持費用だけでなく、事故に備えた
保険料は莫大です」
もう一つとても大切な指摘をしました。
今までのような石油をエネルギーとした経済では持てる国は持てない国を価格で支配し、
世界経済を不安定にしてきました。
世界は、グローバル経済と石油需給による価格とリンクして動かされて来ましたが、
地域発電地域消費のいわゆるローカル経済化してゆくとオイルショックのような不安定な経済から脱することができます。

食べ物もエネルギーも地産地消化する方向が最大幸福をもたらす方策と云うことです。
風力、水力、太陽光、地熱、バイオ発電はもちろんの事、海の波動を使った発電、
山から流れる川の水を使ったマイクロ水力発電などグリーン電力化に本気で取り組めば
CO2問題だけでなく実際に空気や水がキレイで静かな社会になって、地域の就業人口も増えて
ゆくという「いい事づくめ」になります。

もう一つ、日本列島近海に「メタンハイドレード」が次々に発見されて、夢の燃料エネルギー
資源の利用が現実のものになる見通しもつきました。
エネルギー資源のない国ニッポンという常識は、くつがえる時が来ています。

平成27年1月28日                日本オーガニックコットン流通機構
宮嵜道男