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子どもの頃、社会科で「世界の古代文明は、どこも川の流域で発展した」と習いました。日本には国が管理する一級河川は13、989本もあって、川なんて珍しくも可笑し

くもない至極当たり前な存在です。

ところが、ヨーロッパの河川と比べてみて、びっくりしました。

 

ドナウ川はドイツの南の黒い森と呼ばれる水源から東へ東へとウクライナの黒海まで

総延長2,850kmを流れてゆきます。

ドイツ、オーストリア、スロバキア、ハンガリー、クロアチア、セルビア、ルーマニア、ブルガリア、モルドバ、ウクライナとなんと10か国を辿ります。

ライン川は、スイス・アルプスから、北へ向かってリヒテンシュタイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダを経て大西洋に流れます。

ローヌ川は、スイスからフランスを経て地中海へ注ぎ、イン川もスイスからオーストリア、ドイツに向かい最後はドナウ川に合流します。

それにしても生命線の川の水がこれだけの国が共有していることの怖さを感じます。

汚染がアッという間に流域に広がります。お互いが勝手なことをしないようにという

知恵からEU・欧州連合が出来たのは、この辺の事情もあるかもしれません。

ヨーロッパの環境意識の高さや有機農業の普及度は、日本とは比べようもなく進んでいますが、水の汚染と自身の健康に対してのリアリティが強いからともいえるのでしょう。

スイスはヨーロッパの水瓶と呼ばれ、ヨーロッパの淡水の6%を抱え、隠然たる力になっているのではないでしょうか。EU連合に対して、独立した永世中立国として超然としていられるのは、この水のお蔭かも知れません。

 

21世紀は「水の世紀」と云われます。

これは人口増加と環境汚染で枯渇する水源が増え、水資源をめぐる紛争が頻繁に起こるという恐ろしい未来を示しているのです。

20世紀は石油の時代でした。石油は大事ですが、なくても生きられます。でも水がなければ生きてゆけませんから、遮二無二になってしまうでしょう。

中国の巨大資本が、北海道や三重県、奈良県などの日本の水源の土地を盛んに買収しているというテレビのニュースを見て、いよいよ現実味を帯びてきています。

 

世界で水道の水をそのまま飲める国は、11か国説と13か国説がありますが、日本は、どちらにもリストされている第一級の水道水供給国です。

リストの国の中には、飲めるといっても実は硬水で、実際には飲めないとか、旅行ガイドでは、ペットボトルがおすすめと云うものばかりです。本当に問題なく飲める国は極々わずかです。日本のように、蛇口をひねってそのまま飲めるというのは、どうも途轍もなく幸せなことのようです。

 

世界保健機構が水質基準をクロロホルム濃度0.2㎎/lとしていますが、日本は3倍厳しい0.06㎎/lとしています。これは、元々の水質がきれいなために設定できる其準です。

 

工業用水や農薬の汚染水、家庭の排水など水を汚す事の愚かさに気付かなくてはなりません。

水は只だし、なんでも水に流せば解決するという日本人の感覚は、重大な見直しの時代が来ているということです。

 

 

平成25年4月5日                          宮嵜道男

日本オーガニックコットン流通機構