第16回ツールド草津・素晴らしい若者達

4月17日の日曜日の朝、ニッポン晴れの群馬県草津温泉天狗山で行われた自転車レースの観戦をしてきました。
今回で16回目、自転車ブームもあってなんと2,700人の参加となる大レースになりました。
草津国際スキー場のロッジの施設がそのまま大会本部となり、スタートして標高2,100m、白根山のロープウエイのロッジのゴールを目指します。
走行距離は約13km、標高差768mのヒルクライム。
おなじみの高尾山の標高は599m、登山道3km、標高差400mと比べるとその規模と大変さがわかります。

優勝者はここを33分で走り抜けました。平均時速にすると、なんと23.6km/hと驚異的です。
街で平らな道を高校生が突っ走っているのが15km/h位ですから、一本調子で登るこの速度は想像以上に速いペースです。
雪がまだたっぷりと残り、気温は7度で、私はダウンジャケットにニット帽でマスクをして防寒しました。
レーサー達は、山頂まで、くねくねと曲がりくねった残雪の山道を行き、「雪の回廊」と呼ばれる美しい自然のオブジェの中を力走します。
冷気の中を汗だくになって走り、山頂ゴールした後、天狗山本部に戻る道筋は一転下る一方で、冷たい向い風を全身に受けて凍りつくような寒さに耐えなければなりません。
本部に着くと笑顔と拍手で迎えられ、暖かい豚汁が振舞われ、冷え切った体の中はジワーッと暖められます。

レースの自転車にはスタンドがなく、みんな広場に無造作に寝かせられています。
聞くところによるとこれらの自転車は平均20万円もする高価なものばかりです。
中高年者で凝った人は150万円も自転車に掛けているそうです。それでもそれを盗むような人はここにはいません。
ここにある自転車全部の価値を考えてみると、20万円掛ける3,000台として6億円にもなります。こんなマーケットがいつの間にか出来ていたんだと、つまらないことに感心しました。

私の息子がこの大会に出場するというので、本音は草津温泉の魅力に惹かれてのことですが、家族観戦ツアーという名目で出掛けてきました。
会場には仮面ライダーのような派手で、ピッタリと張り付いたあの独特のスタイルの人で溢れていました。
レーサー達は、エントリーしてゼッケンを貰うと、メッセージを書き込むスペースに、東日本大震災に被災した人々に向けて応援メッセージを書き込んでいました。
「頑張れ東北」 「心はひとつに」 「ひとりじゃない」 「今こそ団結!ニッポン」
会場は自転車メーカー各社や草津名物などの沢山の屋台が並んで賑わっています。
会場は終始和やかで、整然としていて、何か不思議な連帯感を感じました。

この大会に出場するための参加資格が2つあります。
ひとつは、白根山コースを2時間以内で完走できる人、二つ目は、「日常からルールを守って自転車に乗っている人」ということです。
自転車のロードレースに励んでいる人たちは、エコロジストでジェントルマン(紳士)が多いそうです
「ルールを守ることがカッコいい」というセンスが定着しています。
確かに、レーサー達は会場の運営の係りの人達へ、爽やかに「ありがとうございます」と声を掛け、いつでも感謝の態度を示しています。
思いがけず日本の善良な若者たちを見ることができました。

レースを終えた息子を入れて遅めのランチパーティをして車に乗り、軽井沢に向かいました。
山道を登ったり降りたりして30分くらい走り長野県に入った頃、一人の自転車レーサーの姿がありました。見るとこの大会に出場してゼッケンをつけたままです。右に左に体を揺らしてリズムカルにペダルを漕いで急な坂道を登ってゆきます。
きっと36km先の軽井沢から遠征してきたのでしょう。ということはこのライダーは今朝早く36kmの山道を越え、大会に出場し奮闘した後、また36km走って戻り、平気でいるという「とんでもないつわもの」なのです。

優しくて強い若者達が、日本には沢山いることが判り、嬉しくなりました。

日本オーガニックコットン流通機構
理事長 宮嵜 道男

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