まず、内閣府が平成20年度に行った国民生活白書から見てゆきましょう。

フェアトレードラベルの付いた製品の売り上げ各国比較
FLO「Annual Report 2007」より

アメリカ       1,178億円
イギリス      1136
フランス      339
スイス       255       日本 10億円
ドイツ        228
カナダ       128

国民一人当たりにフェアトレードラベルの製品の購買額の各国比較

スイス       3,396円
イギリス      1,866
デンマーク     1,172
ルクセンブルグ  1,084
フィンランド     1,058
オーストリア    1,026
アイルランド    871       日本8円
スウェーデン    751
フランス       534
ベルギー      534
オランダ       468
アメリカ       392
カナダ        390
ドイツ        277

*各国との比較では圧倒的に低い数字です。

2007年ODA拠出国(Official Development Assistance,政府開発援助)

アメリカ   2兆1750億円    100円/ドル
ドイツ    1兆2270億円
フランス        9940億円
イギリス     9920億円
日本      7690億円
オランダ     6220億円
スペイン     5740億円
スウェーデン  4330億円
イタリア     3930億円
カナダ      3920億円

*2000年までの10年間は、日本はナンバーワンのODA拠出国でした。

以上のように単純にフェアトレードODAの額を並べても意味を成さない事ですが、国際社会では立派な貢献をしてきているものの、民間レベルでの貧困国への目線の低さは異常です。

実際に内閣府が行った「2008年国民生活選好度調査」の結果に現れています。
15歳から80歳の男女4,118人を対象に以下のような設問をしました。

「あなたはフェアトレード製品の購入について、どのようなお考えをお持ちですか?」

【結果】

A:同品質なら少々高くてもフェアトレード製品を買う。   6.1%
B:同品質で同価格なら買う。                 15.5%
C:低価格なら買う。                       16.7%
*Cの回答は、フェアトレードの意味を理解していない。
D:フェアトレードが何か知らない。              57.1%
E:フェアトレードを買わない。                  4.7%
*Eの回答は、何か別のものと勘違いしている。
*異常に低い数字です。フランスでは74%の人が認知していて、50%の人がフェアトレードのマークの意味を理解しています。

どうしてこんなに,日本人は関心が低いのでしょうか?

日本人が、他の国の人たちと比べて冷淡な民族なのでしょうか?
日本は歴史的にほとんど植民地政策を行ったことがないから貧困国との繋がりも薄く関心がゆかない、という意見があります。
確かに植民地政策で国を大きくしたオランダからフェアトレードが始まっています。
但し、フェアトレード推進国の中で、オランダ、イギリス、スペイン、フランスなどの旧植民地宗主国以外のスイス、アメリカなどの国が規模の点で上位にあり、あまり適切な説明とは云えません。
では、欧米諸国に共通しているものとしてキリスト教があり、慈善の精神、ヒューマニストが多いからだと云う説もありますが、根っこからヒューマニストなら
植民政策など非人間的な搾取を行う筈がなく、にわかに了解できません。
但し、その罪滅ぼしのために慈善を行うというのは、信じたいところです。

では、スイス人がなぜこれほどフェアトレード品の普及に成功しているのか?

スイスは、長くて厳しい冬があり、もともと人が住みにくい山岳地帯に隣接の国々から母国を捨て、寄り集まった人々で構成されました。海もない起伏の多い土地で食糧確保のために、誰れ彼れと差別している暇はなく、過去を問わず協力し合わないとお互い生き残れませんでした。
これが国民としての根強さ、謙虚さ、相互扶助精神を備えるようになりました。
EU統一の中でも、国民皆兵、永世中立国を守り通しています。スイスの時計、
スイス銀行、世界有数の観光立国。人口はわずか745万人(愛知県725万人)程度です。
教育に熱心で勤勉さ、誠実さを最大の美徳として教えています。
このように見てゆくと、スイス人の気質と日本人の気質は大変よく似ています。
フェアトレードに関してどうしてこれほど差があるのか不思議なくらいです。

日本人はムラ社会意識が高く、ムラの外の事には係わらない、関心を持たない。視野が狭い。自己の確立が弱く、与えられた情報に従いやすい、という説もあります。
これも半分くらい当たっているように思えますが、なるほどと完全には腑に落ちません。
じゃなぜ?
それは、いくつか要素があると思います。

  • マスコミと連動した流通、物流が出来ていない。
  • 学校教育で貧困救済やフェアトレードのテーマを取り上げていない。
  • 政府は、国民へODAや貧困国への援助に関しての説明を十分にしていない。
  • マスコミ、特にテレビ業界が営業的に受けの弱いテーマと捉えて力を入れてこなかった。

これらの一連の動きが連携されれば、貧困救済が人々の日常の話題になり、どこのスーパーマーケットやデパートに行ってもフェアトレードのコーナーが常設されていて、気軽に買い物できるようになります。
売れれば広がるという当たり前の普及の道に入ってゆきます。そして、一気にフェアトレード国に名を連ねる可能性があります。
国際的に見ても日本人は飛び切り心優しい民族と強く信じています。

日本オーガニックコットン流通機構
理事長 宮嵜 道男