2008年を、振り返ってみると中国野菜の残留農薬問題、日本の食品工場の製品偽装問題などなど消費者を不安に陥れる事件が相次ぎました。長引くデフレ経済で、生産者は低価格競争の荒波の中、生き残りを掛けたぎりぎりの企業努力を行っています。正当なコスト削減策の限度を越えて、偽装に奔るという現実が見えてきました。偽装食肉工場の経営者が「消費者が安いものを欲しがるから仕方ない」と発言して、大いにひんしゅくを買っていました。

いままで「安心・安全」という言葉は安易に語られ、使い古されてきた感がありますが、ここに来て改めて真剣に問われなければならない時代になりました。案の定,今年は、オーガニック食品関連企業や、オーガニック野菜の宅配事業者はどこも業績を伸ばしています。オーガニックブーム第三波が来ているという見方が日に日に確かなものになって来ています。

最初のオーガニックブームは1970年の後半から1980年前半に起こりました。
「水俣病」「イタイイタイ病」などの公害問題が起き、有吉佐和子著「複合汚染」がベストセラーになって農薬漬けの農産物に眼が向けられました。生協の運動が活発になり、いくつもの有機農産物の宅配会社が事業をスタートしました。

第二のオーガニックブームは1990年後半から2000年にかけて起こりました。
ヨーロッパ、アメリカの環境運動の高まりの影響で、食品だけでなくオーガニック関連の多用な素材の製品が市場に出始め、「オーガニック」という言葉が一つの新しい価値を持つようになりました。オーガニックコットンもこの時期にスタートしています。

農林省は民間団体と協議しながら有機JAS規格を作り上げました。新たな有機市場が認知されてジワリジワリと市場は拡大してきました。ところがその後、実際に生産者と消費者がうまく結びつくことはなく伸び悩みました。バブル経済崩壊後の「失われた10年」という景気後退期に入り、デフレ経済が進み、オーガニック野菜、食品、その他の商品は安い輸入品との価格差があまりに大きく目立ち、本格的な普及拡大にはなりませんでした。
2006年12月に政府は「有機農業推進法」という法律を成立させて、国を挙げてオーガニック農業を進める意思決定を示しました。具体的な体制作りが行われ始めています。それにしても2007年の有機農産物の全農産物に対する比率は、まだ0.16%とわずかでしかありません。

そして今年、冒頭の「安心安全」を脅かす問題が噴出して、消費者の意識が加速度を上げてオーガニック製品に移行してきています。
衣料品を扱う量販小売店は、長年にわたる過当な価格競争を経て年々利益を落とし、方向性を失っています。価格を抑えるために、品質を落とし信用を失うことを最もおそれています。そこでオーかニックコットン素材を使って、エコロジーや健康安全性や更に、企業の社会貢献策としてフェアトレードの要素も入れた新しい価値観の製品を扱ってゆくことが模索されています。オーガニック第三波の到来が期待されます。

日本オーガニックコットン流通機構 理事長 宮嵜 道男