2015年はサステナビリティー元年だった

Cインド老人と子供Sourcing Journal の2015年12月28日のレポートでは、サステナビリティに関する画期的なプロジェクトが相次ぎ、いよいよその時代が来ているという内容です。

サステナビリティは持続可能性と訳されています。この言葉の裏側には、このままの資本主義・生産方式を続けてゆくと人類は持続できない滅亡の可能性が見えてきたということがあります。今ならまだ間に合う、早々に軌道修正して、子々孫々繁栄して行きましょうという考えです。

5000年前の四大文明から人類は営々と暮らしてきましたが、産業革命以来わずか200年足らずで行き詰ってきました。成長、拡大、独占、競争、紛争、戦争に明け暮れている異形の時代を生きています。人類は地球の生態系の真っ只中にいながら、その生態系を壊しています。産業革命以降の文明のあり方そのものに間違いがあったことが分かり始めています。文明の発展の方向を大きく舵を切る必要に気付き始めています。資本主義の先頭に立ってきた大手の企業がやっとサステナビリティーを語り始めています。

人類滅亡の可能性を止める運動がサステナビリティー運動で、大変深刻な話です。

繊維業界の具体例を紹介します。

  •  エチオピアに世界初の本格的なサステナブルなデニム工場が稼働している。カノリア・アフリカ・テキスタイル社は2015年10月に、Bisoftoの近くに素晴らしい工場を完成させた。建物は、廃棄物ゼロの最新技術が駆使された。  デニムの生産量は年間1200万メーターで更に1800万メーターを目指 している。サステナビリティの面で特筆すべきは廃水システムで、水の85%~90%が再利用リサイクルされている。廃水から塩分を結晶化させその塩は、近隣の鞣し皮工場に供給しているという。
  •  スウェーデンの家具メーカーIKEAは、国際的な小売り事業社としては初めて100%サステナビリティなコットンを使うと宣言した。               Better Cotton Initiative BCIコットンを指している。

*できれば認証オーガニックコットンを選んで欲しかった。

 

  •  経営者向けのアンケート調査で32%の人々は、サステナブル・サプライチェーン・トレンド2015から情報を得ている。理由は、サプライチェーンのリスクを回避するためで、 会社の社会的な評判を気にする人々が23%で、サステナブルではないと評価される不利益を認識している。24%の経営者たちが、製造、販売、学界、行政、NGOなどが相互的に 交わり協力して行けば、よい方向に向かうと考えている。

 

  •  NIKEとMIT(マサチューセッツ工科大学)は気候変動問題を受けて素材の開発の協働を 行っている。専用の研究所で、素材のサプライチェーンのフットプリントの改善を目指す。
  •  TEが調査した63%の繊維会社は、繊維の原料まで遡ってサステナビリティーの観点から

サプライチェーンを見直している。

57の繊維会社を調査したが、その資産合計は50兆円に上り、これらの大手企業の93%が

サステナビリティの対策を始めている。81%の企業は原料まで遡って検討している。

  •  パタゴニアは早くから環境保護をテーマにしてきた。売り上げの1%を環境保護運動を行う組織に寄付してきた。

2014年は6億8千200万円(110円/$)を18か国741の地域組織の支援をした。

1985年から始められたこの支援活動は、農業、資源保護、気候変動対策など3、500の組織に対して77億円を支援してきた。

Corporate  Information  Transparency  Indexで167のサプライチェーンの評価を見ると、86の関連企業間で行われた1607件の交渉内容を見ることができる。

この中に参加している企業は、アディダス、H&M,リーバイス、マークス&スペンサー、   ウォルマート、Esquelなど。

 

  •  BCI(Better Cotton Initiative)は、新企画として新しいロゴマークを用意した。

メンバー企業のNike、VF Corp.、マークス&スペンサー、リーバイス、などはベターな考え方で栽培されたコットンを使っていることを示す。ただし、原料の遡及性や混率について不明確な面がある。

 

  • スリランカ政府は、竹とバナナから繊維を採る研究をしている。南部の地域産業の活性を考えている。大学の研究機関を巻き込んで進めている。

 

 

平成28年5月27日              日本オーガニックコットン流通機構

宮嵜道男

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