良店より名店を目指す

2018年最新の統計によると世界の都市人口のランキングで東京が1位で3,805万人でした。東京と云っても、23区の人口は921万人です。   
生活圏として茨城、栃木、埼玉、千葉、神奈川と山梨の区域を東京首都圏とみて3,805万人としています。

2位はインドネシアのジャカルタで3,227万人、3位はインドのデリーで2,728万人でした。10位にはニューヨークが入り1,187万人です。それでは、どれだけ経済が動いているかGDPのランキングで見ると、東京は1兆5369億ドルでやっぱりナンバーワンです。2位はニューヨークで1兆3342億ドル、3位がロサンゼルスが8180億ドルです。

次にレストランの数のランキングでみると、東京は1000人当たりの店の数は6.22店で1位、2位はパリで6.15店、3位はミラノで5.04店ということになります。そしてミシュラン・レストランガイドでお薦め店の星の数が多いのは東京1位226店、2位のパリの94店、3位のニューヨーク76店ということになります。

以上のように、江戸時代から東京は、量、質とも世界ナンバーワン都市です。東京で最も飲食店の多い街は、新宿です。新宿、歌舞伎町、西新宿エリアに6,207店もあります。(2012年調査)新宿に行けば、日本各地の郷土料理はもちろん世界中の料理を味わえます。商売としては、世界一の激戦区とも言えます。

 

人気の店は二つのタイプに分類できます。

規模が大きくサービスが行き届いている良店と規模が小さく独特な料理をじっくり味わえる名店があります。良店は、店が広く客席数が多く来店したお客様には公平なサービスを提供し、多くのお客様に親しまれるように価格設定も低めに努力します。より大きな売り上げを求めて多店舗化して一括仕入れでコスト効率を上げます。

これを豊臣秀吉型の「城」とするのに対して、千利休型は「庵」で、店はこじんまりして席数はごく少なく10席もあれば十分というような規模です。調理するのは店の主人で、主人の趣味、好みが色濃く料理にも店内の雰囲気にも表れます。お客様に対しては個別のおもてなしで、好き嫌いを心得て体調や気分や顔色を見ながら調理するというものです。お客様への対応が荒くなることを嫌って決して規模拡大を望みません。当然価格はそれなりに高くなります。それでも、店の扉を開けると、「何々さんいらっしゃい」と名前を呼んで迎えてくれる。常連さんで成り立っているようなお店、これが「名店」です。

 

さて、オーガニックコットンのビジネスを考える時、良店スタイルでゆくか名店スタイルでゆくか迷うところです。

良店スタイルは当たれば巨大化する可能性はありますが、競争は激しく品質を落とさず価格のボリュームゾーンから離れられず、どうしても薄利で営業を回すことになります。名店はこの点、投資リスクは少なくお客様の様子を見て対応を簡単に変えられますから取りこぼしは少なく済みます。ただし、常にお客様のニーズに敏感でいなければなりません。

お一人お一人に注意を向けて本当に喜んで頂くことに集中する手間の覚悟はしなくてはなりません。できるだけお客様の名前を呼んで差し上げるという位の意気込みが要ります。

価格については、お客様の敬意が得られれば値引きされることはありません。「これだけの対応をしてくれてこの値段?申し訳ないわねえ」と云われるようにならなければなりません。オーガニックコットンビジネスは良店か名店か、どちらに向くか考えると名店スタイルが合っているように思えます。良店と名店の選択で、この中間が正解のような気がしますが、実はうまく行かないようです。

どちら付かずは、お客様は色々で営業の方針はその時その時でぐらつき易く、お客様に見透かされることになります。名店は、時に自店の方針と異なるお客様は拒否することがあってもいい訳です。

10人が10人喜んでくれるビジネスではありません。10人のうちのせいぜい1人のお客様に心から喜んで頂くビジネスです。100人のうち10人、1000人のうち100人と確保してゆきます。お客様へのアプローチは、常に「皆様」ではなく「あなた様」にして、パンフレットやホームページなどの表現もすべてYOUポーズでゆきます。商品開発も万人向きというより、お客様の事情に合わせられる工夫をします。

この厳しい競争のある繊維業界にあって、如何に独自のスタイルを作りそれを広報してゆくことがやっぱり大事ではないかと考えます。

 

日本オーガニックコットン流通機構
顧問 宮嵜道男(文責) 6.21.2018