潮が引いたら

投資家のウォーレン・バフェット氏の名言に
「潮が引いたら、誰が水着なしで泳いでいたかが分かる」というのがあります。
景気が良い時は見え難い投資先の会社の「耐力」ですが、ひとたび不況に落ち込むと立ち所に会社の負の側面が現われるという意味です。
現下のコロナ禍で日本の危機対応能力の脆弱性がはっきりと現れてしまいました。

欧米の国々のコロナ禍死亡者数の大きさを比べると日本と韓国は何故か異次元の軽傷で収まっています。
両国国民の日頃の衛生観念や生活習慣、従順な国民性が大きな要因と言われていますが、
まだ終息への闘いの途中でその理由ははっきりとは解っていません。

今年の1月23日に韓国で、翌日東京で初めての感染者の確認をしました。
韓国は軍隊まで使って徹底的にPCR検査をして感染者を拾い上げ、隔離し収束までの道筋を見せました。その対応によって感染を収束させる確信を持って、国民の意識を上手くリードし、早くも日常生活を取り戻しつつあります。
これに対して日本は後手後手の対策に終始しました。感染の専門家会議を起こしたものの政権はオリンピックの開催に絡んで決断を先送りし、確たる方針も出せず、闇の中を不安一杯に進んで行き、結局精神論的な対応を国民に呼びかけ、ガーゼマスクを配って例の「思いやり」を示しました。

PCR検査については日本の民間検査会社を活用すれば十分にできたのに、誤判定のリスクや医療崩壊の怖れを理由に限定すると云う判断をしてしまいました。検査をいつまでも国主導に拘るあまり、世界からみたら異常な検査抑制というガラパゴス対策となりました。
日本で云う感染者数とはあくまでも発症した患者数で各国がやっているような市中感染者数を含んでのことではありません。これでは、100年前から存在している感染数理モデルという有効な道具を使うことができません。数理モデルは変化する現象を数学的に表して予測することで、100年前から使われてきた手法です。
台湾の数理モデルの専門家が日本の感染予想をしたら、4月26日の時点で5万人が感染していると云う結果を出しました。マスコミで日々報告されている感染者数1.5万人とは大きな開きがあります。PCR検査を当たり前にしていれば、これが実態なのかもしれません。科学的な評価ができないので、過大な非常事態宣言をしているのかもしれません。

福島原発事故によって、我が国は放射能の怖さを嫌と云うほど味わいましたが、放射能はガイガーカウンターで危険を察知できますが、コロナウイルスはこのような計測ができず、ある意味、放射能より恐ろしい存在と云えます。
ガイガーカウンターの代わりの役目をするのがPCR検査で、できるだけ多くの人々に検査をして感染者を把握することが最も大事なことです。PCR検査の精度と云うミクロの懸念がマクロの解決の足を引っ張っていると云う日本らしい硬直した政治手法がはっきり見えました。

ただ結果は日本の人口1.2億人で死亡者600人として割り算すると0.004%、韓国5千万人で死亡者260人だから0.005%となり、日本の方が結果としては軽傷で、本来なら日本政府は国民からも世界からも褒められなくてはならないのに政権への批判は跡を断ちません。結果が良くても、リーダーは事態を正確に掴み、最適な道筋を国民に示せるかが問われていると云うことが分かります。

潮が引いて解ったことは他にも沢山あります。
使い捨てマスクは日本ではほとんど作っていない、それならガーゼマスクで、と云っても縫製工場など生産ラインが僅かになってしまっていることが分かりました。
衣料品の国産率は3%と云うから驚きます。改めて云うまでもありませんが、97%海外生産していると云うことです。
なんとかしなくてはなりません。人命を救うのに絶対必要な人工呼吸器など医療機器も海外生産していて、この需要に対応が出来てないようです。

外出自粛でパンやケーキを作る人が増えて、小麦粉が不足しています。これもほとんど輸入されていて、ひとたび今回のような異変が起これば、生産国は輸出制限をしますから立ち所に不足が起こります。農産物の国産化率を何としても上げなくてならないことがはっきり分かりました。

これまで何から何までグローバル化の掛け声で、このような結果になったことを日本人は考えなくてはなりません。なんとなく国産が良いなどと云う考え方をしていると、今回のような有事が起きると手痛いことになります。多少高くても国産「メイド・イン・ジャパン」を選って、買い続ける必要が分かりました。
国策として安全保障の観点からも、海外生産の比率を決めて国内の自立生産能力を確保しなくてはならないことがはっきりと分かりました。

コロナ禍のお陰で、今までボーッと見えていた不安がはっきり見えてきました。
この目覚めを次世代に伝え、本当の意味の強国にしてゆくことの決意が必要なことが
分かりました。

日本オーガニックコットン流通機構
宮嵜道男 文責 5.9.2020