放射能の害から身を守る“たべもの”

以前、オーガニックセラピストの養成機関(社)国際オーガニックセラピー協会のイベントに行った時に、医師の辻直樹氏の講演がありました。演題は「放射能の害から身を守る食べ物」ということで、先の福島原発事故以来、誰でも心配していることで、聴衆は身を乗り出して聞き入っていました。

1986年にソ連時代に起きたチェルノブイリ原発事故後、被爆による癌をはじめとする疾病は重大で広範囲に渡りました。

ロシア政府は、1985年から2000年にかけて270万人に行われた調査で、その被害の深刻さを報告しています。たとえば癌の増加率を見てみると、乳がん121%、肺がん58%、食道がん112%、子宮がん88%という結果になりました。

一方日本は、広島、長崎の2発の原爆の被害を被り、更にその後、アメリカや中国などの度重なる原爆実験そして東海村原発事故など重大な被曝を経験している割には、国民の癌の発症率がそれほど高くありません。

1947年、戦後すぐにアメリカは、原爆傷害調査委員会を発足して放射能の人体への影響の調査を始めました。その後1975年からは日本の放射線影響研究所が調査を引き継ぎ今日に至っています。

被爆者9万4千人と比較調査のため一般の人々2万7千人の生涯に亘る健康追跡調査を行ってきました。

現在までの調査の結果を見ると、被爆から10年位経ってから、乳がん、胃がん、大腸がん、肺がんなどを発症するケースがありました。
200ミリシーベルト以上被爆した人とそれ以下の人で発症の程度が異なりました。
(参考:医療診断で被爆する線量は年平均一人当たり2.25ミリシーベルト)

一般に、30~70歳でがんの発症率は30%であるのに対して
・200ミリシーベルト被爆の人は33%
・100ミリシーベルト被爆の人で31.5%
ということで、相関関係で顕著な差が出ませんでした。
白血病も胎児への影響も遺伝への影響も少なかったという結果が出ました。

チェルノブイリやアメリカのスリーマイル原発事故後の発症数と比べて、日本が何故これほどの放射能被害を受けながら発症数が低いのか疑問です。

この疑問を辻医師は、日本人の食生活と日本の豊かな土壌のお陰だろうと説明しました。
日本人は、わかめやひじき、のりなど好んで海草を食べてきました。

海草は、デトックス効果の強い性質があります。体内の不要物、放射性物質を取り込んで排泄します。

また日常的に納豆、味噌、漬物など発酵食品を食べてきましたが、これも微生物の働きで放射性物質の害を軽減するようです。

また日本の土壌は古来豊かで本来微生物が活発に働いて放射性物質を無害化した可能性があるとのことです。

日本は、台風による雨風で、空気が浄化され、国土の70%を覆う森林が水を浄化し、人々は自然の解毒作用のある発酵食品をたっぷり摂り、最悪の汚染物質、放射線に耐えてきたということです。

更に、豊かな土壌を保つには、オーガニック農業に戻してゆかなくてはなりません。
大自然の力をいかに生かすかが、安全への最も近道と改めて感じました。

宮 崎 道 男

 

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