オーガニックコットンの種について

ワタとタネ

ふわふわの綿花を摘むと白い綿毛の中に、黒い種が20~30個入っています。

この種は、綿繰り工程(ジニング)で繊維と分離されます。

重さを測ると25%が繊維で、75%が種です。

繊維(リント)はそのままワタとして、また糸として使われます。

分離された種は次の春に植えて使います。残りの種は、食用の綿実油、その他の油剤に使われ、絞りかす(油粕)は牛の飼料などに使われます。

種の周りの短い繊維(リンター)は再生繊維のキュプラの原料や紙の原料、クッション材などの原料になります。

タネのタイプ

固定種、(在来種)   :代々栽培したコットンから種を取り、そのまま撒いて翌年の栽培をする。
(種を仕入れる必要がない)

ハイブリッド種(F-1) :ハイブリッド・雑種、F-1(The First Filial Generation)

メンデルの法則の優性遺伝を利用して、優性が現れるように人工的に受粉を制御する。

Aの花のおしべを取り除き、Bの花のおしべを持ってきてAのめしべに振りかけて受粉させる。

AとBの欲しい形質のみを一世代に限り発現させる。

二世代以降は、形質が特定できないので使えない。

問題点は・・・・、

・毎年種を購入することになりコストアップになる。

・受粉作業のところで児童労働の問題が起きる。

・GMO種への移行の前段階となりやすい。

GMO遺伝子組み換え種 (Genetically Modified Organism:遺伝子 修正 生物)

世界の4分の3(75%)の綿がGMOコットンになっている。

インドの綿花に限るとなんと90%に達している。

BTコットン:殺虫特性を持った土壌菌Bacillus

Thuringiensisの遺伝子をコットンの種に組み込んで害虫駆除効果を狙う。

*bioRe タンザニアは、在来種を使っている。

*bioReインディアは、ハイブリッド種を使っている。

*オーガニック規定でGMOは禁止されているので、一切使わない。

bioReインディアでは、 BT遺伝子のたんぱく質を検出する薬液を使った検査を行なって排除している。

bioReインディアの種の扱いについて

一般的な種の市場の現状は、大手の種のメーカーによって魅力的なパッケージや誘導的な宣伝媒体を駆使してGMOの種の需要を喚起しています。

農民にとって種をどれに決めるかは死活問題です。多様な種類があって、メーカー各社のサービス合戦に引き込まれ、bioReプロジェクトから離れてゆく農業者も年に何人か出ます。

これに対して、bioReとして以下のように対応している。

・ 農民にオーガニック農業の意義、重要性を周知徹底させ、目標を共有する。

・  コットンの種を蒔く、境界に植える植物、害虫トラップ植物、有機肥料、輪作など

総合的に指導、管理して最適条件を求める。

・ 有機農業の可能性を農民に説いて、理解してもらう。

有機農業を続ければ・家畜が増えて(財産が増える)農家の生活基盤が安定する。

・大自然の営みを妨げず、子々孫々への持続可能性がある。

・貧困問題が解決する。

M.P.State Seed Corporation(所在地:Bhopal)

マディア・プラディッシュ州政府の管理の下、種を養殖する生産者が、GMOではない種の開発と供給に協力しています。

綿花の専門学者や研究機関も一体となって有機農業の種の生産に協力しています。

2011~2012年分は15~20エーカーの農地を使ってハイブリッド綿の開発を行いました。

オーガニック認証検査の後、2012~1013年分のオーガニック認証の種として

bioReプロジェクトに託され、その後各農家に配られます。

認証はコントロールユニオンが行っています。

ハイブリッドの種は、目標とする品質に目標値が設定されています。

・ 綿花の収穫量とジニング後の繊維の収量が最大になる。

・  成熟が早くなる。

・  害虫に強い

・  26~29cmの繊維長を維持

・  強度は、22.24PGTを維持

・  マイクロネア(繊維の細さ)4~4.5を維持

・  夾雑物混率2.5%以下を維持

綿花の種類

本来インドの痩せた土地では、在来種のアルボレウム種(arboreumes)やヘルバセウム種(herbaceums)は自然の雨だけで栽培できるので適していますが、50年経ってアメリカ・アップランドタイプのヒルスツム種が席巻してしまいました。

このタイプは、一般的に多くの水が必要で灌漑を必要とし、多くの農薬を使います。

bioReプロジェクトでも、アップランドタイプが主流ですが、以上のような在来種の復活の研究にも余念がありません。

NOCの見解

オーガニックコットンの活動にとって、GMOは最も忌避すべき技術です。

植物と動物を融合させるという大自然の則を越えて、生態系の行方を大きく狂わせてしまう可能性があるからです。

極端な独占を狙った商業主義が、私たちの未来を壊そうとしています。

 「GMO表示のある製品は買わない」という消費者一人一人の選択に未来がかかっていることを自覚してください。

日本オーガニックコットン流通機構
宮嵜道男
平成24年5月15日

 

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