オーガニックコットン「一般論」を正してみる。

ネット検索で「オーガニックコットン」を入力すると以下のような記事がリストされています。
日経ビジネスの記事で、コンパクトに状況を説明していますが、ごく一般的な認識で、オーガニックコットンの本質や現状の説明が欠けています。そこで記事に沿ってコメントして、補完してみましょう。 (宮嵜)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・日経ビジネスオンライン http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130418/246903/                                                           オーガニックコットンは体にいい?日経紙面
消費者の“誤解”を販促に利用してはいけない
2013年4月24日(水)

 

 

H&Mの関西旗艦店である心斎橋店が4月13日にオープンした。オープン前に行われた内覧会に出席した際、オーガニックコットンを使用した子供服を見つけた。
売り場面積3000平方メートルのこの巨大店舗では、これまでよりもランジェリーコーナーや マタニティーコーナーが広く取られていたり、170センチまでの子供服がフルラインで     揃っていたりする。その子供服の中に92~128センチサイズで二枚一組999円のオーガニックコットンTシャツや、新生児向け で三枚一組1190円のオーガニックコットン使用のロンパース などが並んでいた。
無印良品でもオーガニックコットン100%使用のTシャツやポロシャツが並んでいる。価格は一枚がだいたい1550~3900円の範囲内に設定されている。
オーガニックコットン製品はこれまでも存在していたが、かなり高額な物として認知されていた。例えばTシャツで1万円前後というレベルである。ところが 最近では、H&Mや無印良品に限らず低価格のオーガニックコットン製品が市場に多く出回っている。これまでと何が違うのだろうか。
コメント{ 1万円のTシャツは、何かしらのブランド品であって、通常は3、000円前後です。   話のメリハリのために極端な例を持ち出していますね。
オーガニックコットン商品が一般の綿製品と比べていく分高めな理由は、大量生産、大量販売の流通商品になっていないからです。                                              沢山は売れないから、少量生産する。すると当然、あらゆるコストが高くなります。       小売価格に占める原料原価の割合は、3、000円のTシャツの場合、5%以内なので、原料原価が倍になっても小売価格が倍になることはありません。                      オーガニックコットンの原綿が高いからオーガニックコットン製品が高いというのは間違いです。 また、本物のオーガニックコットンの価格にはフェアトレードコストが含まれていますので、安過ぎる商品にはクエスチョンマークがつきます }

<広がるオーガニックコットンの産地>
オーガニックコットンとは、栽培地の土壌汚染を緩和するために化学肥料や農薬を使わずに 栽培する綿花のこととされている。もともとは米国で起きた消費者運動で、米国の綿花農場 での有機栽培を指したものだった。米南部は綿花栽培が昔から現在に至るまで盛んに    行われており、アフリカ大陸からの奴隷連行もその 多くは綿花栽培のためだったことは広く 知られている。
化学肥料と農薬を使わないで栽培すると、当然ながら通常の栽培よりも人手が必要となり、通常品よりも生産コストが上昇することになる。ましてや先進国で 人件費の高い米国でやろうとすれば、栽培された綿花の価格は通常よりもかなり高くなる。本来、オーガニックコットン  といえば米国で有機栽培された綿花のみを指していた。従来のオーガニックコットン製品が 高価格だったのは、こうした背景があったからだ。
コメント{ 確かに、一般の綿の価格の3倍が当初の相場でした }

デニム生地メーカーの営業本部長や繊維業界に詳しいコンサルタントによると、昨今の   低価格製品に使用されているオーガニックコットンはアジア諸国やアフ リカ諸国、中南米で 栽培されたものだという。インドやトルコや中国、パキスタンなどがアジアの綿花栽培国として知られているし、ブラジルやアフリカの国々 でも綿花栽培が行われている。これらの国では 気象的条件から除虫用の農薬が必要なかったり、設備投資が遅れているために「仕方なく」有機栽培せざるを得ない農場が数多く存在する。
コメント{ たまたま害虫がいない土地だったからとか、農家が貧しく農薬を買う事が出来なかったから有機栽培が出来たというのは、オーガニックコットン全体からみると間違いです。 当初から オーガニックコットンには認証制度があり、認証費用を払っても、農薬のない農業に切り替えるという明確な意図があって転換した農民がほとんどです。 }
こうした国で栽培された綿花はオーガニックコットンといえども価格は安い。そのため、低価格品にもオーガニックコットンがふんだんに使えるようになったようだ。ただ、本来のオーガニックコットンの定義とは、少しズレが出ているとも感じる。
コメント{ アメリカが始めたオーガニックコットンの価格は、そのまま後続の国々の相場に なってゆき、その価格は、当然一般の綿と比べたら高額で、発展途上国の農民にとっては  利益的で、オーガニックコットンに転換する意欲に繋がりました。                  世界で広く栽培されるようになって、相場は当然のこと、低下してゆきましたが、認証の基準の中には、フェアトレードの考え方があり、現在でも一般のコットン相場よりも50%くらい高い  価格が維持されています。                                                       オーガニックコットンと称して、5%とか10%しか入っていない製品や認証のない         ”自称”オーガニックコットンの価格と純粋なオーガニックコットン製品の価格を比較することは、300円の牛丼と5、000円のステーキを比べるようなことで、無意味です }

低価格品に広い意味合いでの「オーガニックコットン」が使用されるようになって、一般消費者にもなじみが広がった。低価格で様々な商品が出回るようになったのは、オーガニックコットンの定義以外の要素もある。
従来の高額オーガニックコットンの多くは色彩的には面白みのない物が多かった。     オフホワイト、ベージュ、薄緑、薄茶色とだいたいこんな色のアイテムが多かった。 これは、 綿花本来の色合いであり、染色がなされていない商品が多いことを意味する。真っ白の   製品もない。漂白する際に化学薬品が使用されるからだ。
コメント{ 色彩的に面白味があるかないかは、それぞれ個人の価値観の違いです。      染色しないカラーコットン生成りの美しさをコンセプトにする立派なブランドもあり、独特の市場を形成しています }

染色する場合でも草木染めという天然植物由来の染料に限られていた。そのため、     色展開にも限界があるし、化学染料のように大量生産できない草木染料を使えば価格は  やはり高くなる。
一般の衣料品には様々な色が使われる。今春はネオンカラーやビビッドカラーがブームで、特に鮮やかな色彩のアイテムが市場に溢れている。これらは化学染料で染めているため、 草木染めで同じ色合いを再現するのはかなり難しい。
コメント{ 草木染を化学染色に近づけるという考え方は間違いで、草木染の耐光性や          色褪せ、不均一というマイナス面を強調することに繋がります。                    草木染は、純金製と金メッキ製の機能を比べるようなことで意味がありません。            草木染は、化学染色とは全く別物で価値の高いものです }

<オーガニックコットンを化学染料で染める是非>
昨今の低価格オーガニックコットン製品には通常の衣料品と同様のビビッドな色が     使用されている。もちろん、これらの多くは通常の衣料品と同様に大量生産された化学染料で染められている。これに対して業界内には、「せっかく有機栽培された綿花を化学物質の   塊である化学染料で染めたら意味がないのではないか」と指摘する声がある。この指摘は  ある意味、納得できるものではある。
話はやや脱線するが、皮革にもエコレザーなるものがある。皮革は鞣(なめ)さないと素材として使用できない。鞣す方法として、草木から抽出したタンニン を使用する「フルベジタブルタンニン鞣し」と、重金属を使った「クロム鞣し」の2つが存在する。エコレザーといった場合は  「フルベジタブルタンニン鞣し」 を指す。
エコレザーは染色する染料も限られるので、本来のオーガニックコットン製品と同様に地味な色合いが多い。しかし、ごく稀にビビッドにカラーリングされた エコレザー製品がある。これは 化学染料で着色されている。当然、レザー業界関係者の中には「エコレザーに化学染料で 着色したら台無しじゃないか」と指摘する人もいる。オーガニックコットンと似たような状況に あるのだ。
コメント{ 安全性が確認された化学染色、草木染、そして生成りの製品など消費者の選択肢が沢山あった方が、発展性があります }
染料や加工剤に含まれる化学物質は本当に有害なのだろうかと以前から疑問に思って   いたら、2008年4月にやはりそれなりに有害だと分かった事件があった。 大阪を本社とする 中規模子供服メーカーが製造・販売したTシャツを着用した乳幼児に湿疹が出たという   ニュースだ このTシャツは中国産で、ロゴの文字 などをプリントするためのインクの溶剤に  ホルムアルデヒドが含まれていたと伝えられている。やはり一定の濃度以上になると有害なのだろう。ちなみに生地の整理加工や表面の加工にホルムアルデヒドが使われる場合もある。
そういう観点からすると、染色しない、または天然由来の草木成分以外の染料は使用しない本来のオーガニックコットン製品というのは、好き嫌いは別と して意義のある商品だと言える部分もある。                                                  しかし、衣料品である以上、鮮やかな色柄を求める消費者も多数存在するため、従来の地味な色合いしかないオーガニックコットン製品では支持者が広がらないこともまた事実である。
コメント{ アトピー性アレルギーや化学物質過敏症、接触性皮膚炎などの患者さんに対応できる安全レベルを持ったオーガニックコットン商品群を維持する意義もあります。

<「オーガニックコットン」は品質や機能を指さない>
重要なのは、オーガニックコットンとは綿花の栽培方法を指す言葉であって、何らかの効能や機能、品質を示しているわけではないことである。
通常、綿花の良し悪しは繊維長の長さによって決まり、多くの場合、繊維長が長い綿花が 高級とされる。繊維長が長い綿花を紡績し、その糸で織った生地は滑らかで柔らかいからだ。 綿花の繊維長は栽培される土地の気候風土で左右されることが多く、スーピマ綿やエジプト綿、インド綿などといったように品種や栽培 地の名前がブランドとなっている。
先ほども書いたように、最終製品までオーガニックであることにはもちろん意義があると思う。 一方で、あるテキスタイルコンバーターのベテラン企画担当者 はこう話す。「化学染料で着色したオーガニックコットン生地やオーガニックコットン製品に批判があるのは知っています。  しかし、化学染料でさまざまに着色することでファッション用途が広がり、オーガニックコットンの支持者が増える要素もある。そういう意味では化学染料による着色という手法も全面的な誤りだと言えないのではないでしょうか」。
オーガニックコットン製品が「化学物質を一切使っておらず、体にいい」という機能をうたっているのであれば、化学染料を使うことは問題だろう。だが、 オーガニックコットンはあくまで栽培方法を指している。単純に支持者が増え、オーガニックコットンの栽培が広がることで、  地球環境への負荷を減らすことができるという考え方もある。
コメント{ オーガニックコットン製品に、化学物質を一切使っていないという表現は、      止めましょう。化学物質とは石鹸や糊や食塩に添加されている化学的な物質もすべて含み、単純に天然物に対する言葉とは言えません。「一切の化学物質を排除」という表現はウソに なります }
となると、問題は売り方かもしれない。 一般的な消費者はオーガニックコットンに対し、   「エコロジーな素材」というイメージに加えて、「高級品」「健康にいい」というイメージを持っていると思う。もしかすると、「高級品」だから「健康にいい」という認識もあるかもしれない。そして、「『高級』で『健康にいい』オーガニックコットンがこの値段!お買い得だわ~」という反応に  なる。
しかし、価格が下がったのは先ほど述べたような事情があるし、「健康」とオーガニック   コットンの関係はよく分からない。にもかかわらず、現在のオーガ ニックコットンの売り方には、こうした消費者のイメージを利用しているように見受けられる部分がある。オーガニックコットンという言葉が過度に販促に利用されているような気がしてならない。
オーガニックコットンの普及は大いに結構なことだと思う。しかし、もう少しその内容そのものを知ってもらう努力をすべきなのではないだろうか。
コメント { この文章のサブタイトルに「消費者の“誤解”を販促に利用してはいけない」と   あります。
オーガニックコットンは、単に農薬を使わないと云うだけなのに、”高級品”とか”健康”にいいと いうアピールをすることはいけないとあります。NOCのオーガニックコットン認定規準は、100%純粋性、環境面、健康面の安全規定をもちます。またフェアトレード、貧困支援の要素もあります。
インドやアフリカのオーガニック農場では、農薬による農民の健康被害がない、不当な労働、 搾取的な労働、児童労働などがない、これら多くの農村で貧困救済支援の活動が      行われていて、エシカル(善良、道義的)な要素が強くあります。
これらの要素は大いにオーガニックの販促に活用して頂きたいと思います }

 

平成26年7月2日                  日本オーガニックコットン流通機構
宮嵜道男

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