一般の綿の畑では大量の農薬が使われています。
綿畑は、地球上にある農地(牧草地を含む)のなかで、わずか1%にも満たない面積にすぎないにも拘わらず、全農薬の10%が使用され、殺虫剤に限ると使用量は、全世界で使われる量の四分の一が使われているという、にわかには信じられない報告があります。
これに対して、オーガニックコットンの畑では、化学肥料、除草剤、殺虫剤など、一切の化学農薬を使いません。
有機認証機関の管理の下で栽培されたオーガニック綿花は、世界中の綿の生産量のわずか0.5%という希少なものです。

また、綿を糸や布地に加工する工程においても化学処理を行わず、自然のまま、生成りのままに仕上げるという考え方をもって、自主規準を作り上げた一群の生産者達が登場しました。
それこそが、日本オーガニックコットン流通機構のメンバー企業各社であり、誠実にこの自主規準を守って製品供給をしています。

オーガニックコットンは、栽培の過程で農薬を使わないということが証明されているというだけであり、綿であることに変わりはありません。
見た目で同じ綿同士は、混じってしまった場合、けっして見分けることはできないのです。
(公的な繊維の検査機関においても、同種の繊維は区別できないと明言しています)
例えその比率が5%でも50%であっても、オーガニックコットンに一般の綿を混ぜてしまえば、決して検証することはできません。
そのため、第三者機関によって一切混ぜない100%であることを証明している「表示」を確認することが重要になります。

NOCでは、紡績の工程、製織の工程において、間違いなくオーガニックコットン100%であることを確認し、NOCラベル発行の際に検証しています。
NOCの認定商品には特別なラベルを付けて販売していますので、ご購入の際にご確認ください。

一般の綿花栽培で使われる大量の農薬は、土壌や草木を傷め、そこで働く農業者の健康を害し、大気をそして水を汚します。また、糸や布地の加工工程では、美観を重視するため、また均質な物を大量に作るという営業的な理由から、化学薬剤による処理が幾重にも施されています。これらも大気や水を汚し、動植物の生態系を狂わせてしまいます。
NOCコットンは、環境保全の立場からこれらの作業を排除しています。
世界のコットン生産量から考えると、大海に真水を注ぐような果てしない運動ではありますが、オーガニックコットンの出現によって、農薬問題や衣料品から出る化学物質が健康を害する事実を明らかにしたことにより、衣料業界全体にインパクトを与え、多くの繊維メーカー各社も、少しずつではありますが、エコロジーに配慮するようになりました。

こうして、21世紀には、自然環境を壊さずに物作りができるような、新しい技術開発の方向に進むものと、確信しています。
子々孫々、未来の世代の人たちのためにも、多くの人々がオーガニックな製品を支持してゆくことが大切なのです。

農作物の栽培で化学農薬を使わないということは、簡単に表現すると、昔ながらの農業に戻るということです。
除草作業、防虫作業、肥料づくりなど、どれをとっても膨大な手間と時間が必要です。まずこれがコストになります。
また、綿製品の市場は、最も激しい価格競争が行われている分野であり、綿畑では、搾取労働や児童労働の問題が横たわっています。さらに、製品加工の工場でも、コストダウンの必要から、不当な扱いを受ける労働者や若年労働者の悲劇が後を絶ちません。

オーガニックの認証規準には、搾取的な取り引きや、働く人々への不公正な扱いを禁止する規定があります。
NOCコットンは、この考え方をもう一歩進め、インドやアフリカの貧困農村で行われている救済プロジェクトの産物を積極的に取り扱っており、この救済のコストも含まれます。
また、これらの背景を第三者認証機関に証明してもらうための認証費用も含まれます。
一般のコットンにはない、これらの意味あるコストがオーガニック綿の価格には含まれているのです。

オーガニックコットンの価格は、当初は白い綿で一般の綿の3倍、茶色の綿で7倍、緑色の綿で13倍もしました。現在は、生産量が増えて1.2倍程になりました。オーガニックコットンの糸や布地の製造工程では、化学薬剤を使わず天然材料を使って、低速で機械を動かし、市場需要に合わせて少量を生産します。エコノミー(経済性)よりエコロジーを常に優先させているので、コストアップになります。しかし、コストアップになる最大の理由は、糸、生地そして製品の生産量が少ないので、生産効率が低いからです。製品が売れてゆけば、価格は下がります。このように原価が高い割には、最終製品価格は一般の百貨店の商品の正価と同じ位あり、けっしてかけ離れているわけではありません。
これは、流通をシンプルにしていることと、実質本位でよけいな飾りを避け、ブランドロイヤリティなど付加的なコストをかけないことで実現しています。

オーガニックコットンがどんどん普及してゆくことで、当然のことながら、量のメリット生じ、価格は安くなってゆきます。
これからの消費者は、その製品が出来てくる過程において、どれだけ自然を傷めているかを考え、購入の判断をしなければならない時代が来ています。
環境を汚す商品は、今現在安くても、必ず将来にわたって、環境浄化するための莫大なコストを税金という形で支払わされます。
また、環境を汚す商品は、同時に健康を害す場合もあり、病気の治療に大金を支払わなくてはならなくなります。
多少高い価格であったとしても、エコロジーな商品を選ぶことが、最終的には健康で安全な暮らしにつながるので

オーガニックコットンは綿の栽培から糸の加工、布地の加工まで化学的な処理をしないため、繊維が傷められずに元気なままであることと、防縮剤などを使ってあらかじめ布地を縮める加工をしていないため、縮む場合があります。
しかし、目の粗い繊維組織が比較的縮みやすいことは事前に解っているため、縮み分を想定して大きめにデザインをして補っています。
歪みについては、編みのニット製品では必ず起きる現象です。
洗濯後干す際に、縫い目を合わせて乾かすと矯正することができます。
また、ニットの場合は、着用してしまえば多少歪んでいてもそれほど不便はありません。
昔は、ジーンズを買ったら何度か洗い、縮み切ったところで裾を縫ったりしていました。
今は防縮剤であらかじめ縮めていますので、便利になったかもしれませんが、エコロジーの価値観から考えると、昔の方が環境負荷が少なく優れているといえます。

ゴミに見えるものは、「綿カス」と呼ばれる綿の葉や茎の破片です。
全く無害ですし、洗濯するごとに少なくなります。この綿カスは、綿を乾燥させ、振動させるフィルター作用で取り除いていますが、どうしても取りきれず残ってしまいます。
一般の綿製品は漂白されるため、この綿カスが目立たなくなります。
NOCのオーガニックコットンは、いわゆるお化粧である漂白をせず、素顔のまま仕上げます。
糸や生地の加工工程では、綿カスのほかに、浮遊した糸くずが巻き込まれることもあります。
漂白や染色をせずに生成りのまま仕上げるということは、全てが見えてしまうということで、加工する人たちは、漂白をする場合の何倍もの気遣いが必要になります。
よく販売会社の品質管理の方から、虫眼鏡で見ないと気が付かないような糸くずを指摘され返品されることがあります。消費者の皆さんからのクレームを恐れるからです。

漂白染色しない、生成りのよいところを特長にしているオーガニックコットンであるのに、ゴミが見えるからダメというのはおかしいと思いませんか?
例えば恋人に「素顔の君が好きだ」といわれて、無化粧でデートに行ったら「そのソバカス何とかならない?」って言われたらショックですよね。それはわがまま過ぎると思います。

オーガニックの精神の中には、自然のままの物に「寛容」になるということが含まれているのです。

綿の色は産地、品種、収穫時期などによって異なります。オレンジやバナナなどよく見るとそれぞれ色が異なるのと同じように、自然の植物の色なのです。
大自然の作り出す色を、ぜひ尊重してください。
ひとくちには「綿は白い」と言われますが、実はオーガニックコットンには、茶色や緑色の綿で作った生地がありますが、これらは染めた物ではなく、生まれつきの色です。カラーコットンと呼ばれます。これらの色もそれぞれ色合いは異なります。
遺伝子組み換えにより色をコントロールする試みもありますが、これらはオーガニックの考え方から外れています。

ご自分が手にとったものは、世界に二つとないあなただけの色です。
どうぞご愛用ください。

オーガニックコットンは、エコロジーと健康のために天然性にこだわって出来た製品です。そのため、仕上げ洗いに使う洗濯石鹸も環境や健康に配慮した高価な物を使っています。
製品を購入された方が化学合成洗剤で洗ってしまうと、折角それまでしてきた「努力」が、それこそ水の泡と消えてしまいます。合成洗剤は環境汚染の原因になり、人の身体にもいい影響はありません。
その証拠に、アトピー症や化学物質に過敏な人たちは、化学合成洗剤が身体が反応して使えません。健常者にとっては気が付きませんが、きっと身体にはきつい刺激になっていると思います。
出来るだけ天然洗鹸を使用して、排水された先の川のこと、海のことを考えるようにしましょう。

よく「オーガニック製品は合成洗剤で洗っても大丈夫ですか?」という問い合わせがあります。オーガニックコットンは一般の綿製品と変わらず、合成洗剤で洗っても決して直ぐに傷むことはありません。
しかし、合成洗剤には、漂白剤など様々なものが配合されていますので、色が褪せたり、表面がザラついたりと、劣化し変質することが考えられます。

オーガニックコットンの色は、あくまでも天然、生成りの色ですから洗濯したり乾かしたりする際の条件で微妙に変わってきます。
特に緑色の綿は、長く紫外線に晒されると茶色系、またはグレー系に変化します。また、水道水に含まれる塩素の漂白作用で、繰り返し洗っていくうちに白っぽくなります。
これらは自然の作用であることをご理解ください。

草木染とか紅茶染め、コーヒー染などで、少し色を付けてみてはいかがしょうか?
オーガニックコットン愛好家の中には、お蕎麦を茹でる大きな鍋に色を溶かし、煮込んで色付けして楽しんでいる方がいらっしゃいます。全く違った雰囲気になって、またまた愛着が湧いたそうです。
ご自宅でも簡単にできますので、ぜひお試しください。

茶色の綿には95%以上のUV効果があることが実証されていますが、実ははるか昔、綿の原種は、白ではなく茶色だったのです。
古代人が布地を染めるようになったことで、白い綿を主に使うようになり、茶色は打ち捨てたため、絶滅してしまいました。
その茶色の綿が、オーガニックコットンの出現と共に復活しました。

茶色の原種の綿は、やはり自然の力。
自らの種を紫外線から守るため、「茶色」で保護していたのです。
その自然の力を借りて、UV効果のある手袋や帽子などの製品が販売されています。
一般のUV加工は化学処理して行われていますが、オーガニックコットンは自然のままでUV効果を得られる点でも、エコロジーと健康の優位性があることがわかります。