グリーンピースが「アパレルの水」を告発
昨年11月にNOCのホームページに「世界的なアパレル企業H&MがPFCの使用を止めるというPFCってなんだ!」という記事を掲載しました。
1960年代に、世界中で大騒ぎになった有害化学物質のPCBは,1970年についに使用禁止が決まって終息しましたが、これに匹敵するほどの化学物質がこのPFCです。
PCB:ポリ塩化ビフェニール PFC:過フッ素化合物
捕鯨反対運動で日本の調査船に過激行動を繰り返すことで有名な環境保護団体グリーンピースが、矛先をアパレル産業に向けました。
2011年3月から「2020年までにすべての有害危険化学物質の使用・排出をゼロにするキャンペーン」を始めています。
中国の繊維加工企業Youngor Textile City Complex社とWell Dyeing Factory Limited社の会社の工場排水から、有害危険物質が流出していることを突き止め、この有害危険物質がアパレル製品にも残留している現状を報告しています。
問題は、この 二つの工場は、世界の有名アパレルブランドの生産に係っていたことです。 この問題を改善するためにグリーンピースは大手アパレル企業に有害化学物質のデトックスの考え方を迫り、キャンペーンの参加を取り付けました。
ナイキ、アディダス、プーマ、H&M、ZARA、リーバイス、エスプリ、MANGO、M&S 、C&A、Li-ningは、それぞれ改善のためのロードマップを示し、改善宣言をしています。
そして、この1月9日、ユニクロは、日本では初めてこのデトックス宣言を出しました。 グリーンピースジャパンの事務局長の佐藤潤一氏は「ユニクロが今日、2020年までに有害化学物質を全廃すると宣言したことで代替物質の利用と開発を牽引し、水質保全を目指すグローバルリーダーとなりました。 染色工場の近くの住民と世界各地の顧客の声を、同社が受け止めた結果生まれた変化です。ユニクロのリーダーシップは、日本企業による社会的責任のとらえ方として特に先進的な取り組みと云えます」と手放しで称賛しています。
また、ユニクロは、企業の社会的責任において「すべての有害化学物質の使用を『予防原則』に基づいてやめていく」としています。
「予防原則に基づく」とは有害性が科学的に100%証明されなくても疑わしければ使用をやめるということで、一歩も二歩も踏み込んだ内容です。
アパレル製品は、化学合成繊維はもちろんのこと天然繊維についても染色をはじめとする 化学処理を幾重にも行い、一定の品質を維持しています。
使われる化学薬剤は何千種類にも上り、これらをすべて調べ、取捨選択してゆく作業は膨大な労力とコストを負うことになるでしょう。
低価格で打ち出している商品政策で、はたして成り立つかどうか注目したいところです。 従来の品質基準を安全な薬剤だけで仕上げられるようになればその功績は大きいものになります。
参考画像
【ビデオ】ZARAにデトックス宣言を求める人々。世界の街角から。、
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=jWhLN0Ag_Dg
ユニクロ、2020年までに有害危険物質全廃をグリーンピースと合意
http://a06.hm-f.jp/cc.php?t=M218345&c=25879&d=1082
【ビデオ】映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」で若き日のチェ・ゲバラ役で出演した
ガエル・ガルシア・ベルナルさんがデトックスキャンペーンに参加してくれました!
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=jWhLN0Ag_Dg
以上のような市場の動きは、アパレル産業にとって歓迎すべきニュースですが、裏から見ると2020年までに改善するということは、これから7年間は、有害化学物質の排出は我慢しなければならないということになります。
商品の販売は間断なく行われているわけで、猶予なく毒性の疑われる化学物質は即刻止めるくらいの宣言を消費者は望むのではないでしょうか?
NOCのオーガニックコットン製品のように、化学物質に敏感な人でも使えるという「安全品質」を最初から規定して取り組んできた製品は、いよいよ歓迎される時代になりつつあると云えます。 宮嵜道男