ペットをかわいがると長生きする。 – オキシトシンとは?
ワンちゃん、ネコちゃんのかわいさに夢中の中高年が激増しています。
NOC メンバー企業の(有)マザーズ、(有)アッピー、(株)猫屋敷の各社は、ワンちゃん・ネコちゃんの オーガニックコットンの衣類や寝具などで業績を増進中です。
飼い主は、自分の服は安売り店で済ませ、かわいい子には、最高のオーガニックコットンの服を着せたい、「親心?」ということでしょう。
犬猫6匹を居間で飼っている私の娘家族の感想を聞くと、「とにかく見てよし、触ってよし、癒やされるんだよねー!」と手放しでのろけます。
餌や汚物の世話、高額医療費のマイナス分を大きく上回るだけのプラスがあるらしいことがわかりました。
癒やされる気分の元は、「オキシトシン」という内分泌 ホルモンです。
オキシトシンが十分に分泌されていると、脳の疲れが楽になり、気分が安定して、人に対する信頼感が増し、心地よい幸福感に満たされます。
オキシトシンは別名「幸福ホルモン」とも呼ばれています。
このホルモンが分泌されると相乗的に「心が安定するホルモン」セロトニンも分泌してセロトニン神経が活性化されます。
晴々したモードになり、いい気分です。
オキシトシンは哺乳類だけに分泌するホルモンで、主に出産に関係し、出産の時に子宮の収縮の役割を持っています。
産科では陣痛を促進させる時はこのホルモンを点滴しています。
分泌されたオキシトシンは、脳の前頭前野とヘン桃体(へんとうたい)の受容体に取り込まれます。
ここは、心に関係した脳の真っただ中です。
オキシトシンが分泌され、セロトニンが分泌され、セロトニン神経が活性化されると、脳の状態は安定し、心の平安、平常心をつくりだします。
また、自律神経に働きかけて、痛みをやわらげます。
出産の苦しみは、男性からみたら想像を絶する難題ですが、女性は意外に平気でこなし出産後は至福感に満たされています。
なるほど脳内でこのようにホルモンが働いていた訳です。
さらにこのホルモンは出産後、母乳が出るように促す働きもします。
柔らかい赤ちゃんを抱き、授乳をするとさらにお母さんの脳内にオキシトシンが分泌され、母性愛が高揚します。
幸せな気分と充足感に満たされて、母乳がよく出るという良い循環が起こります。
これまで、このホルモンは「女性専用」と思われてきましたが、実際には男性にもあり、年齢に関係なく分泌されていました。
どういう状態の時にこのホルモンが出るのか。
かわいい赤ちゃんを見つめて優しく抱いている時、ワンちゃん・ネコちゃんと絡んで遊んでいる時、親子の愛情、男女の愛情を交わす時そして、楽しい仲間と群れる時や狭い飲み屋で肩を寄せあってワイワイ楽しく盛り上がっている時もオキシトシンがあふれ出します。
これらの状態を「グルーミング」と呼びます。
象や馬、その他多くの動物はお互いの体を接触させます。
ネコは毛繕いを丹念に行います。
サルは、お互いにノミ取りや毛繕いをしてコミュニケーションに役立てます。
これらも「グルーミング」です。
このグルーミング状態の時、脳内ではせっせとオキシトシンを作ってセロトニン神経に送っています。
逆にオキシトシンが出にくい状態はどんな時か?
- 人と人とのコミュニケーションをパソコンや携帯のメールで行う。
- 人と関わらない生活をする。
など、人と人との良い関係を築けない時には、オキシトシンが出ません。
食事している場面でも、広い高級レストランで、緊張しながら食事をしている時も分泌されません。
オキシトシンが分泌されると身体への変化として次のような効果が出ます。
- 人への親近感が増し、信頼感を持てる。
- ストレスがなくなる。
- 血圧の上昇が抑えられる。
- 血流が良くなり、心臓の機能がよくなる。
- 幸福感を得られる。
以上のようないい気分が長く続けば寿命が延びるというのは、しごく当然です。
「人は人に癒やされる」という言葉の意味は、オキシトシン分泌と言い換えることができます。
いや、この言い方は、人の感情を科学的に解釈するという冷たいオキシトシンが不全の方向でした。
気を付けなければなりません。
平成25年12月5日
NOC 宮嵜道男