工場では当たり前の化学薬剤が・・・
韓国でイギリス製の加湿器殺菌剤を使っていたユーザーが次々に病気になり、死傷者が200人以上(死者100人)という大問題が発生し2012年に薬剤と疾病の因果関係が明確になりました。
最近、テレビのニュースで被害者が、釈明している会社の社長に殴りかかるシーンが映り、事の重大さを知りました。
韓国では冬はオンドルという床暖房を使うため、部屋が乾燥して風邪や気管支炎の原因になると云われ、加湿器は冬の必需品です。
部屋の湿度が50%を境に、インフルエンザウイルスなどの繁殖が劇的に減るので確かに加湿器は有効です。
加湿器の水は、水垢や雑菌で汚れるおそれがあり、本来、毎日タンクやフィルターの洗浄、乾燥が理想的ですが、水が減ってきたら水を足し、そのまま付けっぱなしというのが一般的で、レジオレナ菌等の繁殖が起こり、どうしても殺菌剤に頼ると云うことになりがちです。
問題の殺菌剤を製造していたのは、イギリスのトイレタリー用品メーカーのレキッドベンキーザ社で、ミューズ、ドクターショール、クレアラシルなどでお馴染みのトイレタリーブランドの大手メーカーです。世界に60もの支社をもつグローバル企業です。
この殺菌剤「オキシーサクサク」という加湿器用の殺菌剤を韓国で2001年から2011年まで 450万本販売され、問題が発覚してから販売を停止しています。日本では販売されていません。
殺菌剤に使われていた化学物質はPHMG(ポリヘキサメチレングア二ジン塩酸塩)で、毒性が強く、人が吸い込むと肺の細胞が壊れ、呼吸困難になり致命的な障害を起こします。
この薬剤は、建築現場、家畜の畜舎の殺菌、肉の加工工場内の殺菌、プールの清掃などで使われています。
殺菌効果が優れている点から業務用が一般的で家庭用には危険すぎる薬剤です。
どうしてこのような強力な殺菌剤が、加湿器用に使われたのかということは、単なる不見識ではなく、加湿器のタンク内の除菌の難しさを物語っています。
日本では、銀イオンや二酸化塩素、次亜塩素酸水などの比較的安全とされる薬剤で除菌するのが一般的ですが、呼吸により直接肺に化学物質を取り込むのは、口から取り込むよりも危険な面があり、避けるに越したことはありません。
こまめに掃除を怠らないことが大事で、安易に化学薬剤に頼っては危険だということが分かります。
平成28年5月19日 日本オーガニックコットン流通機構 宮嵜道男