未体験な柔らかさスーピマタオル
洗濯3回目ぐらいから肌触り気持ちいい曲線急上昇
スーピマタオル モッレ
通常のタオルではありえない規格のタオルの加工を頼んでみると、工場の人たちからの反対にあいました。オーガニック綿の細い糸を使い、布地の組織や加工の仕方も常識はずれ。
それでも“超”のつく柔らかいタオルを求めてチャレンジしてゆきました。
出来上がったタオルは、永年、加工に携わる現場の
プロたちからは、これはタオルじゃないと悪評でした。
でも使ってみて、驚きました。現場のプロたちの心配
をよそに使い込むと、肌触りのよさがどんどん増すのです。使い始め3回目ぐらいから吸水性もよくフワフワ
で、繊維がプクッと膨れてきます。肌触りは気持ちよく、快適曲線はこの辺から急上昇して行きます。
約3ヶ月間、洗って干してを繰り返しました。
普通のタオルならとっくにゴワゴワ、ザラザラで雑巾と化している筈です。
ところがこのタオルはそうはならず、多少様子が変わったものの雑巾にするのは、まだまだ先のことです。寒い冬にはこのタオルを首に巻いて寝ました。心地よさと暖かさを十分に楽しめました。
世の中には無撚糸タオルやその他柔らかさを追及したものはいろいろありますが、どれも化学的作用の上でできてきた産物です。このタオルは化学処理をせず、ただ当たり前にNOCエコ加工基準に則って、できるだけ自然のままに作ったものです。(NOCエコ加工基準は日本オーガニックコットン流通機構の環境保全、健康維持を求めた製品加工基準です。)
工場の人たちにこのことを伝えると、堅くならない理由は分からないが、やっぱりスーピマコットンの素質と,せっけんだけで洗って綿の繊維が傷んでないからだろうと言っています。
どうぞご自分でこのタオルの凄さに触れてみてください。ビギナーズラックと言う言葉があります。初心者が、熟練者を負かせてしまう珍しい幸運を言います。このタオルはまさにこの幸運に恵まれたタオルです。
ここで一般のタオルは何故、ザラザラで堅くなるのか見て行きましょう。
一般に、タオルはギフトに利用されることが多く、ファッション性が問われます。すると有名デザイナーに頼んで華やかにデザインします。デザイナーは色や柄について厳格に指示を出します。工場は、何万枚ものタオルを一定の色、柄をぶれることなく加工しなくてはなりません。取り扱う小売企業の品質管理の担当者の厳しいチェックを通らなくてはならないからです。
ひとたびチェックに引っかかれば全品作り直しになります。企業としては大赤字の仕事になってしまいます。そこでまず、色や柄を間違いなくきれいに仕上げるために事前にタオル生地の「脱脂加工」をします。
なぜ脱脂が必要なのでしょうか?綿は、強い日差しや雨風など厳しい自然環境に対応するために繊維にロウ分や油分を含んでいます。原綿に水をかけても水玉になってパラパラと弾いて、中まで滲み込むことはありません。染色やプリントにはこのロウ分、油分が、色の染み込みのジャマになります。そこで強いアルカリ剤で取り除きます。また、色、柄を正確に表わすために一旦白く「漂白加工」します。繊維は当然荒れてザラザラになります。染色やプリントなどの既定の化学的処理をした後、仕上げとして「柔軟剤」で柔らかく仕上げ加工します。
このように作られたタオルは、使い始めは、柔軟剤の作用で水分を吸収せず使いにくく、しばらく使ってゆくと、柔軟剤が落ちてくるので吸水性がよくなり快適に使えます。ところがその後、柔軟剤の効力がなくなると、元の脱脂された繊維に戻り、肌に痛みを感じるくらいザラザラになります。そのため、タオルを柔らかくするためのソフターと呼ばれる柔軟剤がテレビでも盛んに宣伝して売られている訳です。
オーガニックタオルは、脱脂も漂白も染色もしませんから、当然柔軟剤も不要です。
天然の柔らか成分のロウ分、油分を適度に残して仕上げています。
永く、柔らかく、気持ちよくお使いいただくには、いくつかの工夫が要ります。
1.ロウ分、油分を適度に残すため、天然石鹸の薄い洗濯水を使い、30度以下で洗います。
2.短時間で脱水し、直射日光を避けて影になるように干して、風に当てて乾かします。
綿の繊維を硬くする理由は、繊維そのものが劣化することで、長時間の脱水や、直射日光の紫外線は繊維を荒らします。
3.石鹸は脂肪酸とナトリウムの塩ですから、洗濯水(硬水)のマグネシウムイオンと反応すると不溶性の塩(石鹸かす)を生じます。石鹸かすはザラザラ感の原因と、脂肪酸が分解して、異臭を発する原因になります。このため十分に石鹸分をすすぐことが大切です。
ひと手間かけて、タオルの本来の快適をお楽しみください。
日本オーガニックコットン流通機構 文・宮崎道男