「デロリアン」の燃料

デロリアン

1985年から1990年まで3部作で制作されたハリウッド映画「Back to the future」の中に登場するハイテク自動車が「デロリアン」。

2作品目で、30年後の2015年の未来の自動車の燃料は生ごみになると想定しました。
*写真は燃料タンクに生ごみを入れている場面

2015年といえば来年です。

映画の世界の夢物語と思っていたら、なんと生ごみで走る自動車が実現していました。

映画製作者は、予知夢を見たのでしょうか。

福岡市は、2015年3月31日の実証実験を終えて、生ごみ自動車の社会システムでの、実用に向けて事業を進めるとしています。

生ごみ(排水処理後の汚泥)から水素を取り出し、水素自動車のための水素ステーションに供給する計画が進んでいます。

仕組みは、意外に簡単で、家庭や工場から出た下水を濃縮して微生物の力で腐敗するとバイオガスが発生します。

これは、メタンガスですから「水素」が取れる訳です。

水素で走る自動車は、燃料電池車FCVと呼ばれます。

排出ガスは、普通の自動車の二酸化炭素のように環境汚染にならない純粋な「水」だけという理想的なエンジンです。

理想の自動車・FCVを普及させるための最大の問題点は、ガソリンスタンドのように国中にたくさんの水素ステーションを作り、安定した供給システムを作り上げて行けるかどうかです。

全国には、廃水処理施設が、既に多くありますので、問題の一つが解決できる可能性が出てきました。

「Back to the future」の映画の登場人物の博士ドクが「日本製品は素晴らしい」と叫ぶシーンがありますが、これも未来を言い当てていた訳です。

福岡市は、市営バスも燃料電池システムで運行する計画が進んでいます。

医療関係や防災用途などの非常用電源としての活用も進めて、まさに「水素シティー」を目指しています。

全国的には、2015年内に100カ所の水素ステーションができ、2020年の東京オリンピックでは、日本がクリーンな理想社会を歩んでいるという世界へのアピールのために選手や関係者たちの移動用に水素自動車を活用することが織り込まれています。

中学生の時に、理科の「水の電気分解」の実験で、片方の電極から水素の泡が出て、もう一つの電極からは酸素が簡単に出てきて、陰極側の水素の試験管を手に取り、火をつけると「ピョーッ」という音がしてビックリした思い出があります。

水に電気を通すと、簡単に水素と酸素が分離して取れることがわかります。これと逆に、水素と酸素を結合させると電気が起こる訳です。

そして残るのは(排出するのは)、当然 H2O、純粋な「水」です。

家庭用の都市ガス(メタンガス)から水素を取り出し、燃料電池を家庭用電源に使う「エネファーム」は既に普及をはじめています。

現在6万台程度ですが、政府は2030年には530万台を目指すと多額の補助金を予算としています。

同時に進んでいる自然エネルギーの太陽光発電や風力発電で、過剰にできた電気を使って、水の電気分解をして水素を取り出して蓄える応用も考えられています。

石油採掘の際に出る天然ガスや石炭の蒸し焼きで得られるガスからも水素を取り出すことができます。

間伐材や農業廃棄物のもみ殻、酪農廃棄物の家畜の汚物など、バイオマス発電からも水素は取れます。

いろいろな再生エネルギー発電と組み合わせて効率を上げてゆきます。

そして、さらに日本には、横綱級のエネルギー源が控えています。

まさに今年、経済産業省・資源エネルギー庁が本格的な調査を始めたのが、「メタンハイドレード」です。

燃える水と呼ばれ天然ガスとほとんど成分が同じで、日本近海の大陸棚に豊富にあります。

埋蔵量は、7.35 兆 立方メートルで日本の年間天然ガス消費量で割るとなんと96年分に当たるといいます。

この燃料は、メタンガスですから水素がとれるわけです。

これで、日本は一気に資源大国に変貌します。

映画に出てくるハイテク自動車「デロリアン」の一つ前の時代のエネルギー源は「原子力」でした。

本当に映画というものは、単なるンターテインメントと侮れないと思いました。

しっかりとした未来予測の学術研究が土台にあるのでしょう。

平成26年7月16日 日本オーガニックコットン流通機構 宮嵜道男

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