お客さんに喜んでもらう、これが原動力でした。
NOC メンバー紹介 20周年
フォロイング 徳田洋子さん
「オーガニックコットンの靴下を 扱い始めて今年で20年、沢山のお客さまの喜びの言葉に励まされて ここまで続けて来られました」
と徳田洋子さんは微笑みながら 話してくれました。
”お客さまの喜び”とはどのようなことか、エピソードがあります。
徳田さんは、ある時、看護士の方から「足首を締め付けないソックスはないかしら?」と問われました。
心臓の弱い患者さんには、足首を締め付けてはいけないのだそうです。
昔の靴下にはゴム糸は入っていませんでした。編み機の改良が進んでゴム糸を編み込めるようになりました。これは画期的な事でしたが、意外なことに足口のゴム糸の締め付けが苦しいという声が聞かれるようになりました。
そこで、足口のゴム糸を入れないでフィットする靴下を作りたいと、工場の協力を得てサンプルを何回も作り直して試行錯誤の末、なんとか「ゴムなしソックス」を完成させました。このソックスは心臓病の患者さんにはもちろん、健常者の方々にも「これは楽だ」と喜ばれました。
もう一つのエピソードは、オーガニックコットン製品の特徴に漂白や染色をせず、生まれたまま生成り色のものが多くありますが、化学的な加工処理をしないことからアトピーアレルギーや化学物質過敏症といった患者さん達から注目されてきました。ところが、ある時、特に過敏な方で、静電気でさえ不快に感じてしまう方がいました。
ソックスに編み込まれている伸縮性のためのナイロンやポリウレタンの化学合成のゴム糸が静電気を起こしているとのことでした。そこで伸縮糸のポリウレタンを ナイロンの代わりにコットンの糸で包んだ糸に替えました。お客さんはこれなら履けると喜んでくれました。解決策ではありませんが、より良い方法だったようです。
ゴム糸があると不快に感じる人がいる以上、ゴム糸をすべて止めてオーガニック コットンの糸の網みの構造だけで仕上げたソックスも作らなくてはいけないと 考えて製品化しました。
このソックスは、過敏症の方だけでなく、寝る時に足が冷えて辛いという方々が、全く締め付けがないこのソックスがいいと云って履いて寝ています。
世の中に靴下という商品は輸入品の安い物から桐の箱に入れて販売するような 高級品まで溢れるようにあります。皆さんのタンスの一番下の段にはぎっちりと ソックスが詰め込まれているのではないでしょうか?そんな中、オーガニックコットンの生成りのソックスがあると不思議に選んでしまいます。身体は、無意識に快適さを欲しているのでしょう。
徳田さんは、20年前に、繊研新聞の連載記事(1994年6月29日から7月4日まで)に注目しました。それはNOCが普及活動を始めたばかりの頃に投稿した記事でした。
コットンの栽培の過程で使われる農薬や製品加工される過程で使われる化学薬剤が自然環境を損ねているという内容が徳田さんには大変衝撃でした。
その頃、靴下の企画の仕事に携わっていましたが、それなら、自分でオーガニックコットンの糸を仕入れて作ってみたいという冒険心が湧いてきました。
最初は、50足のリブソックスというごく少量の発注でしたが、工場の皆さんの好意で生産が始まりました。
徳田さんは、出来てくるまでのワクワク感を今でも懐かしく思い起こされるそうです。
最初のソックスは、スキムミルクのような優しいオフホワイトで、一目で惚れ込んでしまいました。
大自然が生み出す綿毛を最低限の加工で仕上げたオーガニックコットン製品の心地よさをはっきりと感じました。
20年前の創業の頃の想いは今も変わりなく「ものづくり」への意欲を支えています。
平成26年11月12日
日本オーガニックコットン流通機構
宮嵜道男