自前で綿繰り工場を持つことの重要性[コラム 2021 No.01]

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このところ、オーガニックコットンへの注目度がドンドン高まって、繊維関係の業界紙だけでなく一般紙や大人の女性向けのマガジン誌などで頻繁に特集が
組まれ、消費者の関心が高くなって、これに呼応するように繊維メーカーが次々と新規参入してきています。

オーガニックコットンの普及活動を30年近く続けてきた当方からすると、感無量の嬉しさではありますが、よく目を凝らせて実情をみると、新規参入メーカーの付け焼き刃的な取り組みもあって残念に思うこともあります。

繊維業界は、これまで ”強度、美観、特異性” を求めて繊維開発して、より新規性の高い 繊維素材を布地にしてニューファッションとしてビジネスを進めてきました。
そしてそのほとんどが、要素を組み合わせ、ミックスした多様性を武器としてきました。
その流れのまま、オーガニックコットンを新素材のように扱う商品が散見されます。
そもそも、オーガニックコットンは新素材ではありません。

農薬が使われる以前の綿花に戻った、いわば先祖返りの素材です。
農薬始め化学薬剤を多用する便利で高効率な現代産業から、元に戻るだけの素材で何も新しい「機能」が加わることではありません。
自然環境保護や使う人の安全性への関心が高まって注目された繊維素材です。
その意味で、他の繊維素材や化学合成繊維とミックスして、新機能をアピールするということには向いていません。
申し訳程度のわずかなオーガニックコットンの混率なのに、地球環境を守るとかサスティナブルなスタイルを強調する見当違いの製品も市場投入されています。

オーガニックコットンの混率は、100%を追求しないと意味がありません。
一般のコットンと混ぜるのは、オーガニックコットンの栽培に手間ひま掛けて頑張ってくれている農業者の皆さんが気の毒になります。

このNOCを発足するとき、「オーガニックコットンと一般のコットンとを混ぜた場合、その混率を証明することはできますか?」と繊維の専門検査機関に訊きに行った事がありますが、はっきりとそれは不可能ですと明言されました。
お金を掛けて遺伝子レベルで検査すればできる時代になってきていますが、それは無駄な経費コストになるだけでしょう。
そうとするならば、オーガニックコットンは常に100%を目指すべきだと考えてきました。

オーガニックコットンの純粋性を尊重して、製品加工の工程でも、出来るだけ化学的な加工処理はしないで、伝統的な技術を思い出しながら工夫を重ね、心地よい商品に仕上げてきたのがNOCの辿った道でした。創業時のNOCメンバーの多くは、100年に手の届く老舗企業の面々だったからこそ、ここまで徹する事ができたといえます。

さて、本題の「どうして自前の綿繰り工場を持つことが重要なことなのか」について説明しましょう。

ふわふわの綿花を摘むと白い綿毛の中に、黒い種が20~30個入っています。
この種は、綿繰り工程(ジニング)で繊維と分離されます。
重さを測ると25%が繊維で、75%が種です。
分離された繊維は、まとめられ約200kgの塊、綿俵(ベール)になります。

さあ、ここで綿繰りの工程の前の収穫された綿花に話を戻しますが、一般的には綿繰り工場は綿花畑の近くにあって、各綿農家から集積された綿花を順々にジニングします。
一般的にはコットンはコットンなんだからと、混じる事の問題意識は必要ありません。
ところが、こと認証オーガニックコットンとなると、ここで混じることは大変に困ります。

一般の綿花は、ほとんどがGMO遺伝子組み換えがされていて、オーガニックコットンの認証規準ではこれを厳しく禁じているため、GMOの検査で引っかかると認証されず、折角手間暇かけて収穫したものが一般綿扱いされ、取引価格が下がってしまいます。

そこで、現在NOCグループの原料供給元のbioReプロジェクトでは、自前でジニング工場を所有して、プロジェクト内で収穫したものだけで作業するので、混入が起きないようにしています。
認証されたオーガニックコットン100%の製品を供給するためには、特別な手間暇や資金的な負担など少なからずあるということです。

NOCグループの面々は、このような大事な原料ですから、製品加工において大切に扱わなくてはならないといつも考えています。

2020年12月27日
日本オーガニックコットン流通機構
オーガニックコットンアドバイザー 宮嵜 道男

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