選択眼と想像力を培う教育を[コラム 2022 No.01]
「週刊教育資料 2019年2月25号」で、全国の教育関係者に向けた情報誌で NOC が取り上げられました。
そしてまたこの度、「月刊日本教育 2021年 10月号」に NOC の活動についてのページを割いていただきました。
NOC の活動は既に高校の副読本にも掲載されてきましたので、教育界ではオーガニックコットンに関しての活動として好ましい組織という認識を得ています。
発行元の公益社団法人日本教育会は、昭和 50年に設立され、全国の幼・小・中・高・特別支援学校の教職員、PTA、それに教育関係者も含めた総合的な教育職能団体です。
現在、43 都道府県にわたり、5万人 余の会員を擁し、19 都道府県に支部が設置されています。
これからの子供たちに、よりよい世界を拓くには、正当な選択眼を持つことが大事なことと伝えました。
以下は掲載の原文です。
この栽培方法は土壌中の微生物に活力を与え、働く人々の健康を損ねず、産地の環境保全や住民の安全を守ります。
日本オーガニックコットン流通機構は東京都認可の非営利組織で、加盟している企業が販売する 「NOCコットン製品」に付ける認定ラベルを1993年から発給してきました。
世界の綿の産地を見渡してみると、多くは経済貧困地域にあることが判ります。
そこで貧困救済の意図をもって、生産者がオーガニックコットンに転換することで改善できるプロジェクトを進め、積極的に買い取ります。
従来の一方的に圧力を掛けて、値切る取引関係ではなく、フェアな取引をするというフェアトレードの考え方がありますが、それよりも、更に一歩も二歩も進めて産地を積極的に擁護するプロジェクトを行っています。
具体的には、綿花相場に上乗せした価格での買い取り、長期の買い取り保証に加えて、有機農業の技術指導や大型バスによる移動病院で行う医療支援、子供の教育施設の建設や運営費の支援、飲料用水の井戸の建設やバイオガス設備の提供をしています。
現在の日本でコットンの商業生産はされていません。
100%輸入ですが、原料として輸入している量は、ごくわずかです。
衣料など繊維製品は約97%が完成品として輸入されています。
原綿、紡績、製織、縫製の工程のほとんどが中国や東南アジアの国々にあります。
実は日本国内での生産は3%程度で日本製という表示の製品を見つけるのは、稀な時代になってしまいました。
私たちが日常、安く衣料品を買えているのは、綿花畑での児童労働や、不当な低賃金労働などで苦しんでいる人々たちの上で成り立っているということに関心を寄せて頂きたいと思います。
日本の豊かな社会に生活していると、次元の違う貧困にあえぐ国々の人たちがいることに思いを馳せることは難しいのが現状です。
1990年ごろから、エコロジーやオーガニックという価値観が広がりました。
また、アトピー疾患などのアレルギーに悩む子供や化学物質への過敏症がある子供たちも増えて、安心して着られる素材としてオーガニックコットンが社会に認知されるようになりました。
最近は、高校の家庭科関係の教科書にもオーガニックコットンが紹介されるようになっています。
現在は、衣食住において、意識をもって見渡すと、従来になかった安全な製品を手軽に買うことができる時代です。
「選択肢がある幸せな時代」であるからこそ、エコロジーやフェアトレード、サスティナブルで健康安全な製品の「選択眼」を育てるという教育の役割がますます求められていると感じています。
オーガニックコットンに限りませんが、こうした製品を単に「安いからとか気に入ったから」 「自分に合うから」 と選ぶだけでなく、それを作った人たちが「笑顔で生活しているのだろうか」 「子供たちが幸せでいるのだろうか」 と、世界を視野に入れて想像できる力を養うきっかけになればと願っています。
2022年01月14日
日本オーガニックコットン流通機構
オーガニックコットンアドバイザー 宮嵜 道男