タンザニアの井戸の寄贈の意義
この写真は、タンザニアで、bioReプロジェクトから寄贈された飲料水設備です。
パノコトレーディングの御法さんが、村の子供を抱いて、すっかり溶け込んでいます。
手前の看板には「この井戸は、日本の パノコトレーディングと、NOCから
MWAMISHALI村に寄贈されたものです」とあります。
「水は命の元」と云われています。日本で生活していると、透き通った水は当たり前で、少し濁っただけで、やれ水道局に電話だと大騒ぎになります。
ところが、世界で24億人の人々が適正な衛生環境になく、11億人の人々がきれいな水が得られず、15秒に一人の割合で子供が、水不足が原因の病気で死んでいるのが現実だそうです。この傾向は改善されるどころか2025年には世界人口のなんと3分の2が慢性的な水不足に悩まされると予測されています。
1990年頃に、ロサンゼルスに住んでいて起きた水不足には、本当にびっくりしました。日本で生まれ育って、それまでに水不足の恐怖を味わったことがなかったからです。
水の節約が叫ばれ、スプリンクラーで芝生に水を撒くことが禁止されました。散水が発覚すると警察が罰金を請求してくるということになりました。それまで住宅街は、緑の芝が敷き詰められていてキレイでしたが、みるみる茶色に枯れて、剥げてゆき醜く乾いた土が露わになりました。恐ろしい光景でした。
タンザニアの雨期は3月から5月までと10月から11月の2回ありますが、それ以外は雨が降らず、7月から10月はきつい乾季になります。
こうなると川という川の水は干上がって人々は川底を削りわずかに沁みだした泥水をポリバケツにとり飲料水、生活用水に使います。このような不潔な水を飲んだ子供たちが病死することが日常的に起きているわけです。
水を汲みに行くのは女性の仕事で、水を汲みに8時間も歩くというようなこともあります。世界的に平均すると水汲みにかける時間は2時間ということになります。サバンナの平原をカラフルな民族衣装をきた女性たちが頭に水瓶を乗せてゆったりと往く姿は、アフリカらしくて、のどかに見えますが、実は大変な重労働だったのです。
女性は、このような家事に時間を取られるので、教育を受ける機会もなく、時には身の危険にさらされることもあります。
タンザニアの年間降水量は500mmで、ドイツ580mmと大差なく、やはり政治的、経済的な問題と云うことが判ります。(日本は1,718mm、世界平均880mm)
オーガニックコットンを通じて貧困救済しようというタンザニアのbioReプロジェクトの支援活動に於いて井戸の寄贈はこのように大変に役立っている訳です。
平成26年4月2日 NOC 宮崎道男