最近多いオーガニックコットンの質問[コラム 2020 No.18]

このところ、NOC会員様より同じ主旨の質問が寄せられています。
NOCのオーガニックコットンの本質に触れる重要な質問です。

それらは、大体以下のようなことです。

  1. オーガニックコットン製品がどうして柔らかくて、肌触りが良いかを説明したい。
  2. オーガニックコットン製品の買い手のメリットは何か。
  3. NOCのオーガニックコットン製品の最も強調すべきアピールポイントは何か。

オーガニックコットンの特長は、一般的にはエコロジー、フェアトレードという言葉で説明してきました。
おかげで、地球環境に良いとか、産地の人々の利益を正当に守るという社会性が優れていると云うことは、お客さんに理解してもらえるようになってきたようです。

しかし、お客さんが本当にその商品を買いたいという気持ちになってもらうためには、買う側にとってどんな具体的なメリットがあるかとか、一般の綿製品にはない特別な 価値があるかということを示さなくてなりません。

そこで、次のような説明の仕方を考えてみました。どうぞ参考にしてみてください。


  • 畑から収穫してきたコットンボールから種を取り除いて、繊維だけにして、ゴミを 取り除く精綿工程を経たコットンに触ると、フワフワで柔らかく、艶やかで、温かみがあります。
  • この状態は柔らかさ、肌触りの良さ、温かみの点で、完璧で100%とします。
    それが、糸に加工する工程、生地に加工する工程、洗浄、漂白、染色などの工程を経ると先の100%が80%に60%そして20%と云うように下落してゆきます。肌触りも艶もなくなります。

    そこで仕上げ加工という工程で柔軟加工やつや出し加工をして辻褄を合わせると いうのが、一般の綿繊維です。

  • NOC発足の当初、この組織でどういう綿製品を特長にするかを決めて、現在の加工 規準を作りました。
    オーガニックコットンが農薬を使わないピュアな点を特長にするなら、製品加工の 工程も化学処理をできるだけせずに、生の綿花の味わいを残した製品を目指すということになりました。(本来のコットンの心地よさ100%を損ねない加工に抑える)
     
    その加工方法は、まだ化学薬剤がなかった昔からの伝統的な技術を活用することにしました。
    当初のメンバーは、親子三代続くと云うような歴史ある会社から参加した人が多く、古い技術を使うことに抵抗なく取り組めました。
  • 化学処理工程とは、天然の繊維の性質を「目的」のために変質させることです。
     天然繊維だから縮む、歪む、生成りは色調にばらつきがあり、退色するなど、均質性を最も重要な「品質」と捉える業界では、マイナス要素ばかりで、工業製品として品質許容範囲に収めるために、多くの加工薬剤が開発されました。

    化学の力を借りて仕上げるということになったのです。
    前述の綿本来の味わいを失ってでも、ブランドイメージの毀損やクレーム回避を優先する事にしている訳です。

    実際に小売り企業の商品品質検査は厳しく、不良が発覚すると簡単に返品されるためメーカーの損失が大きくなります。
    ましてや、お客さんの手に渡った商品のクレームとなると、個別に謝罪することと なり、膨大な手数が掛かります。
    間違いが起きないように、徹底的に化学処理しようとなった訳です。

  • 一般の綿製品は、柔軟剤、つや出し剤など肌触りや美観の改善の為の仕上げ剤で加工しますが、ユーザーが洗濯、乾燥を繰り返すとその効果が落ちて、素顔の劣化した状態になる訳です。
    お客さんは、やむなく柔軟剤を買ってきて、洗濯の際に加えるようになったのです。
  • NOCのオーガニックコットン製品は、環境に良い石けん洗剤などで洗っていれば、
    長い間柔らかさを保てます。
    化学処理をしないので、繊維そのものが劣化しないからです。

NOCオーガニックコットン製品を販売する場合には、お客様がお困りにならないように、いろいろと特別な工夫が必要です。
縮み歪みを想定した物作りです。
また、化学処理をしないので、形態変化や退色性の可能性があることを販売の際に 上手く伝えなくてはなりません。

デメリットを敢えて、ピュアで価値ある事のメリットに言い換える工夫が必要です。

2020年9月29日          
日本オーガニックコットン流通機構 顧問 宮嵜道男

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