エシカルは平和な世界が大前提[コラム 2022 No.06]

昨今のニュースでは、ウクライナの災難がいつでもトップに扱われています。
瓦礫(がれき)と化したウクライナの街の風景を見ていると、本当に21世紀の現在起きている事なのかと不思議な気持ちになります。

インターネットが世界に張り巡らされて、情報格差が無くなり、誰でもグローバルな視点で未来に希望を見いだせるものと思い込んできていたようです。

コロナ・パンデミックにしても世界中が同時に苦しみ、一緒に協力して対処してきて、なんとか終息の光明が見えてきています。

二つのオリンピックに挟まれて、2022年の新年はオリンピック精神に沿って世界平和を享受し、人類が協力し、高め合う素晴らしい時代を迎えたと祝いました。
ところが、新年が始まって、わずか3カ月足らずで、ロシアがウクライナに侵攻してこの惨状となってしまいました。


「苦あれば楽あり」

ご馳走をテーブル一杯に並べて、端の方にウェイトレスさんがそっと請求伝票を置いていく。
梅も桃も桜もほころぶというのに眼は痒く、くしゃみが止まらない。
辛い請求書が回ってきて、スギ花粉代とある。
良いことがあれば、辛いこともある。
何事も表裏一体、闇があるから光がある。

那須岳にある名勝「殺生石」が真っ二つに割れていたという。
標高 850 メートルの斜面に高さ 2 メートルもある大きな岩で8 メートルものしめ縄を巻きつけて祭ってきた。
平安時代に美女に化けた狐が上皇の命を狙って、 退治されて石となったという。
1000 年にも亘る言い伝えだけに穏やかではない。
さあ、凶と出るか吉と出るか、神業の前に人は無力で、ただ、おののくしかない。
火山の噴火か、大地震の前兆なのか、はたまた コロナ・パンデミックが更に猛威を奮うのか。

このところのテレビニュースを観ていると、ロシアに侵攻されて苦しむウクライナの災難一色になっている。
首謀者プーチンの顔を見ていて、ハッとした。
丸顔ではあるが、白いキツネ顔である。
殺生石に閉じ込められた白ギツネが1000 年の怨念で石を割り、飛び出してプーチンに乗り移ったのではないか。
世界はプーチンに圧力をかけて、なんとか閉じ込めようとしている。
白ギツネを首尾良く再び石詰めできれば、平和な 21 世紀のいい時代になっていくのだろう。


未だ、戦闘の行方は専門家にも見通せていません。

爆撃で破壊された街の姿、原発施設から立ち上る煙、地下室に閉じ込められ、幼子を不安げに抱きしめる若いママたちを見ていると、エコロジーとかエシカルとかSDGsの運動などひとたまりもないと実感しました。

SDGsは、国連サミットで採択された、2030 年までに世界が一緒に実現する17の共通目標ですが、16番目に「平和と公正をすべての人に」と謳(うた)われています。

この度のことで、付け足しのような 16番目 ではなく、いの一番に据えて欲しいと思いました。
まず平和を実現しないと、何も始まりません。

ひとたび戦端が開かれたら、地球温暖化も、大気汚染も、海洋プラスチック汚染も、人権も差別も文化遺産も、何もかも意味を成さなくなることを痛感しました。
オーガニックな無害のミサイル燃料、CO2を出さないEVの戦車、オーガニックコットンの軍服… あり得ないことを書き連ねていて、バカバカしくなります。

改めて世界を見渡してみると、ミヤンマー、シリア、北朝鮮、香港等々、権威主義国家に抑圧されている人々はまだまだ、少なくありません。

現代が、既に情報共有、グローバル経済相互依存型の世界になっているのを見誤り、侵攻したロシアは、これから国力が衰退していきます。
軍事力を奮って他国を攻めると世界から孤立して、国力が著しく削がれるという現実を前にして、たじろぐ独裁国家のリーダーたちの困惑の顔が目に浮かびます。

苦あれば楽ありで、これがきっかけで理想的な平和な世界に転換していくと、強く信じたいところです。

オーガニックコットンに携わり、エシカルな活動をする私たちの立場としても、世界の平和という目標の一端を担う気概を持たなくてはならないと感じています。


2022年03月25日
日本オーガニックコットン流通機構
オーガニックコットンアドバイザー 宮嵜 道男

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