凄い理論があった TOC (Theory Of Constraints・制約条件の理論)

イスラエルの物理学者エリヤフ・M・ゴールドラット博士が、昨年6月に亡くなりました。64歳という惜しむべき年齢でした。博士は、生産効率を物理学の発想で驚異的に改善する「制約条件の理論」TOCを打ち立てました。

1983年に出版された著書『ザ・ゴール』は、世界で1,000万部以上売り上げました。生産管理の理論から、新しい会計方法(スループット会計)や一般的な問題解決の手法(思考プロセス)へと発展させ、世界中の経営者、生産管理、サプライチェーン・マネジメント、そして教育分野に多大な影響を与えました。
ところが日本語での出版についてだけは、許されませんでした。

当時の日本の産業経済は絶好調で、この理論が活用されたら、世界の産業は日本に席巻されてしまうという危惧を持ったからでした。

18年後の2001年ついに日本語で出版が許されました。
出版して最初の3か月で30万部が瞬く間に売れました。
アメリカでは最初の3か月で3,000部、その後年間3万部程度の売れ行きと 比べると、日本人が新しい考え方を取り組む意識の高さは予想通り凄いと唸ったそうです。

この理論は、生産工程の中で必ず現れるボトルネック(滞る、制約される工程)を特定して画期的に改善して全体の効率を驚異的に上げるというものです。

グンゼ、住野工業、ASEジャパン、日本特殊陶業、キャノン、北海道電力、北越製紙、丸五技研、オリンパス、日立ツール、関東自動車他多くのメーカーが取り入れ大きな実績を上げました。また行政関係で、国土交通省や宮崎県、東国原知事の時代に、ダムなどの土木建設事業に活用されました。

博士は不況下の日本企業に向けて次のようなメッセージを残されました。

*コスト削減の流れの中でも、IT関連は別で、うまく使いこなすことに注力が必要。
*日本企業の最大の長所は「和」の精神で全体の最適のために個人が役割を果たすことであり、この精神を決して失わないように。
*企業を改善するのに長い時間が掛かるという間違った認識を持たぬこと。
*物事は実にシンプルで、当たり前のことを当たり前にするだけのこと。

製造や染工所などの企業はこの理論を研究することをお薦めします。

日本オーガニックコットン流通機構
理事長 宮嵜 道男