BPQCからビューティ―アポセカリーへの展開

オーガニック・ビジネスを進める上で、押さえどころがどこか、見極めるのは容易ではありません。

3月13日、健康博覧会のセミナーで㈱三越伊勢丹の営業部長小宮仁奈子さんの講演が大変参考になりました。

小宮さんは、新宿伊勢丹の画期的な売り場「BPQC」を手掛けた張本人です。2000年に「ナチュラル、オーガニック、自然派、エコロジー」などのキーワードで括られる消費者をいち早く取り込む意図をもって、ある種実験的な意味あいも入れて展開されました。

2008年までの8年間で6億円の売り上げを4倍近い23億円まで伸ばしました。現在は「ビューティアポセカリー」として、BPQCのノウハウの蓄積を生かして更に進化させています。

地下2階の売り場は、元々ボイラー室や従業員用の更衣室などに使われていたデッドスペースでした。地下1階は、いわゆるデパ地下でオープンの食品売り場ですから独特の臭いがあり、本来、ファッションとか化粧品などは、生活実感のあるものから離したい売り場ですが、そこを使うというマイナスからのスタートでした。

欧米の小売企業が、ナチュラル志向の消費者を相手に着実な業績を上げ始めていた2000年頃、日本の消費者は、はたしてどれくらいこの志向を持っているのか、恐る恐るのスタートだったと思います。

実際、BPQCの主な目的は、「ナチュラル志向の女性たちの発見と育成」だったそうです。BPQCの意図に呼応した消費者のプロフィールは、仕事を持った30~40代の女性で、美容の事、身体の事、内面的な事に関心の高い人々や頑張っている自分へのご褒美として安全で、信頼できる製品を求める知的な女性たちでした。

積極的に質問をしてくる人も多く、対応するためにコンシェルジュを配置しました。一旦気に入ってくれるとあれもこれもと購入するため、年々客単価は上がってゆきました。

現在の「ビューティ―アポセカリー」の客単価は約8、000円です。

年間を通じて買い物するお客様は40%弱に達していて、三越伊勢丹カードで決済する率はなんと70%以上です。

ハウスカード決済による優待ポイントの利用率が高いところが、このBPQC以来の展開で、最も重要な点と見ました。

この売り場のファンは58、000人とみられていて、常にプロモーションの対象です。ビューティアポセカリーの「アポセカリー」とは調剤薬局の意味があって、女性の心身に真正面から向き合い、クリニックと連携してカウンセリングの守備範囲を広げて、徹底したファンづくりをしています。

以上の展開を整理してオーガニック・ビジネスの参考として見るべきところは次のようになります。

・ターゲットとなる客層の生活観を掘り下げ、一歩先行く提案型でアプローチしなければならない。

・接客が最も大事で、セルフストアー型ではなく、少なくても対面対話型で、できれば生活の質を向上させるカウンセリングが出来ることが望まれる。

・品揃えの面から、幾分高めのこだわり商品が中心になるので、商品の特徴、類似品との違いをはっきり見せる工夫をしなければならない。

 

・折角のファンを離さないためには、優待ポイント制は、不可欠である。ただ単に、%割引などのメリットを示すのではなく、それぞれのお客様がいかに、大切な存在であるか、心に訴える演出のある優待方法を考案しなければならない。

「ビューティアポカセリー」のメインのお客様は、幾分高額なお買いものを納得してくれる裕福な女性客で、これがオーガニックのファンであることが理解されました。

そのために店内の装飾、音楽BGM 照明などの演出、包装材料のイメージ統一感などが綿密に計算されています。そして何よりも最も大切なことは、心地よい自然な接客で、商品知識、カウンセリングまで出来る人的なサービスが出来ることでした。

安物を大量に売るというビジネスの対局にあるのがオーガニック・ビジネスであることが改めてはっきりと知らされました。

平成25年8月13日        日本オーガニックコットン流通機構

宮嵜道男