昨年2012年のオーガニックコットン製品の市場レポートが発表されました。

オーガニックコットン製品の小売額は、89億ドル(8,900億円、対ドル100円)でした。同様に環境配慮型、社会倫理型の他の繊維関係の製品も売り上げを伸ばしています。色々な研究結果や統計が示しているように、オーガニックコットンが”好ましい繊維素材”と呼ばれる分野で順調に成長していることが、全体を活気づける力になっています。

TEは、この市場レポートを示す前に、背景となる世界の事情を伝えています。

2012年がどんな年だったか?

・世界各地で洪水、ハリケーン、干ばつが起こり、科学者はこれは昨年だけのことではなく、今後、常態化するかもしれないと警告している。

・人為的な災害としては、工場の火災や倒壊、政治不信、国内または国際間の紛争等々があり、どれも繊維・アパレル産業に打撃で、地域の産業もコミュニティーも荒廃してしまった。

・ブランドや企業の合併や統合があり、少数の企業によって、市場が独占する傾向が進んだ。

・繊維製品の地域生産化は、原綿や糸の生産の地域化に結びついた。

・人口の増加や所得の変化が起こり、新しいチャンスが見えてきた。

2012年オーガニックコットン買い付け企業 トップ10

(買い付け量)

  2008 2009 2010 2011 2012
walmart C&A H&M H&M C&A
C&A Nike C&A C&A H&M
Nike walmart Nike Nike Nike
H&M Williams-Sonoma Zara Zara PUMA
Zara H&M adidas Anvil Coop Switzerland
Anvil Anvil Greensource prAna Anvil
Coop Switzerland Coop Switzerland Anvil PUMA Williams-Sonoma
Pottery Barn Greensource Target Williams-Sonoma Zara
Greensource Levis Disny C Target Carrefour
10 hessnatur Target Otto G Otto G Target

 

TEは今年、成長が著しい企業のランキングを作った。

成長率%ランキング

1 C&W 2 Nudie Jeans 3 PUMA 4 Otto Group  5 Continental Clothing

6 Anvil Knitwear  7 H&M 8 Bergman Rivera 9 Zara 10 Nike

*Otto Groupは、トップ10には入っていないが、伸び率%では41%成長で4位に入った。

*トップ10企業はどこも2020年までには、すべての原綿はエシカルな背景を持ったものにしてゆくと宣言した。この年は、記念すべき重要な年となった。

*この度、調査に参加したブランドや販売企業の71%が、来年もこの分野のコットン製品を伸ばしてゆくと答えている。

オーガニックコットン原綿の生産量が2011年の激しい落ち込み後、何とか8%減に抑えられています。

オーガニックコットンに及ばないが、より良いコットンという新しい分野、例えばBCI(ベターコットン推進)CMiA(,アフリカ産コットン推進)などが売り上げを伸ばしています。

このレポートで使われている言葉で「Preferred fiber」を直訳すると、環境や社会性、倫理性の面で好ましい繊維素材と云う意味になります。

オーガニックコットンをはじめ、「減農薬のコットン」、「フェアトレードのコットン」、「アフリカ支援コットン」などを指しています。この言葉を表すのに近い概念は一括して「エシカル」と思われます。この後「エシカルコットン」と呼ぶことにします。

以上のエシカルコットンには、それぞれ基準や定義が整備されてきました。

●以下の各認証は、流通の監査を行い、製品の加工についての評価はしません。

CCS(Content Claim Standard)

主体:TE  発足:2012、9月  認証対象:原綿  認証ラベル:なし

OCS(Organic Cotton Standard)

主体:TE  発足:2013,3月  認証対象:オーガニック綿  認証ラベル:あり

*従来のOE100(オーガニックエクスチェンジ・TEの前身)はOCSに移行

RCS (Recycled Content Standard)

主体:TE  発足:2013,9月  認証対象:リサイクル素材  認証ラベル:あり

●以下の各認証は、流通過程での環境面、社会倫理性への配慮があるかどうか監査します。

GRS (Global Recycle Standard)

主体:TE  発足:2012,6月  認証対象:リサイクル素材 認証ラベル:あり

GOTS(Global Organic Textile Standard)

主体:GOTS- IWG  発足:2006,10月 認証対象:オーガニック繊維 認証ラベル:あり

GRS(Global Recycled Standard)

主体:GRS-IWG  発足:2014年予定 認証対象:リサイクル素材 認証ラベル:あり

*流通過程での環境面、社会倫理性、化学薬剤の安全性への配慮があるかどうか監査する。

以上のように、生産背景に合わせて、いくつもの認証が用意されるというのは、自然な流れですが、消費者サイドからみて、複雑さを感じ、嫌厭(けんえん)される虞(おそれ)があります。または、どれも一緒で、何かラベルが付いていればいいし、価格の安い方を選ぶというような安易さに流れることも考えられます。但し、国際的な各企業が、これらのラベルを普通に使いだすと、これが標準になり、いかなる企業もエシカルに係るというボトムアップ効果は得られるかもしれません。全体としては、農薬を減らす、遺伝子組み換えの種を減らす、フェアトレードを進める、アフリカのコットンを支援するというよい方向に向かっているように見えます。そこで、この動きを萎えさせないためには、消費者の「関心」に掛かっています。

オーガニックコットンに係る人たちは、消費者の皆さんにオーガニックコットンの必要性と認証、認定の意義を積極的に伝えてゆかなくてはなりません。

平成25年9月25日

宮嵜道男

日本オーガニックコットン流通機構